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海外の富裕層がしている子供へのしつけ
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海外の富裕層がしている子供へのしつけ

花輪陽子
2019
01
30

シンガポール在住のファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。ボストン・コンサルティング・グループの世界の家計金融資産に関する調査(2015)によると、超富裕層の割合が多い国は、1位香港(10万世帯当たり15.3世帯)、2位シンガポール(同14.3世帯)、3位オーストラリア(同12.0世帯)という順番で、シンガポールで生活をしていると富裕層と接する機会も多いものです。今回は海外の富裕層がしている子供へのしつけをご紹介しましょう。

成功のヒントは子どもの自制心と親の経済力?

友人のインド人カップルで普通の会社員で資産1億円以上を築いている人がいます。お互いに子供が4歳なので一緒に遊ばせているのですが、彼らは子供が「ジュースが飲みたい」「お菓子が食べたい」と言っても、母親はすぐには与えません。「食事を食べてからにしなさい」と説明をし、たとえ他の子どもがお菓子やジュースに手を出していても、説明をして諭して与えないのです。

子どもがおもちゃをねだった時も同じです。「これは実用的じゃないから」そう言って、子どもが欲しがってもすぐには買い与えません。4歳の子どもなのに、母親の説明を受け入れ、自制をすることができるのです。

心理学者のホアキム・デ・ポサダ氏は、成功するために最も重要な資質は「自制」する能力だと、著書やTEDのスピーチの中で述べています。

また、有名な「マシュマロ実験」をご存知でしょうか。4歳児を部屋に残してマシュマロを置いておき、15分して大人が戻ってきた時にまだマシュマロがあったら、もう1個もらえるというものです。

研究者たちは 18歳から19歳になったその子どもたちを見つけ、マシュマロを食べなかった子どもたちはみんな人生がうまくいっていることを発見しました。成績が良い、素晴らしい、幸せである、将来の見通しがある、先生や友達とよい関係を築いているなど、うまくやっていたようです。

前述のインド人カップルなど成功しているインド系の家庭は、このように子どもの自制心を養うような教育をしていると感じます。祖国が貧富の差が激しい環境で育った夫婦ということもあり、富裕層も危機意識が高い彼らにとって、「子どもの自制心」を培うことは代々受け継いでいる帝王学なのでしょう。

2018年5月25日に発表されたニューヨーク大学のテイラー・ワッツ氏とカリフォルニア大学アーバイン校のグレッグ・ダンカン氏、ホアナン・カーン氏による最新の研究調査によると、この「マシュマロ実験」の結果は限定的とされ、自制心以上に社会的・経済的背景が長期的にみた子供の成功の鍵となっていると示されました。

親が経済力をつける努力をして、子供にいつでも食べ物などのリソースを与える安定性を示すことも大切なのです。そうすれば子供は、自制心を保ち、喜びを先にとっておく術を学習できるようになるはずです。

裕福な家庭の子だからこそお金の教育が必要

インド人カップルとは対極で豊かでもお金に溺れてしまう子供達もいます。シンガポールには信じられないくらいのお金持ちが多く、不動産価値が数十億円の豪邸、フェラーリやランボルギーニなど億越えの高級車(シンガポールは税金の関係で車の価格が日本での3倍程度になる)、クルーザー、数多くのお手伝いさんたちを保有している家庭もいます。若い国なのもあって、その多くはニューリッチです。

そうしたお金持ちの家庭に産まれた子供は幸運と言えるのか不幸になるのかは親の教育次第です。「お前、フェラーリ乗ったことあるか」と3歳の子供が同年代の子供と普通に話しているのを聞いたことがあります。また、お手伝いさんに指示をする親の言動を聞いて、小さな子供が友達にも同じように指示を出したりしがちです。

シンガポールや香港は小さな国土でパーティーがたくさん催されるのですが、ティーンエージャーがパーティーに溺れてしまい、勉強しなくなって道から逸れてしまったという話も聞きます。滅多にない話ではありますが、お金は使い方次第で子供にとっては害でしかなくなる時もあるのです。

お金持ちで何でも買い与えることができるのに、あえて買い与えないということは非常に難しいことなのです。そういう意味でも自制心を養わせることができるのは庶民の方が環境的にやりやすいのかもしれません。

子供と一緒に自制する方法を考える

残念ながら、我が子はおねだりもするし、インド人カップルのような聞き分けの良い子供ではありません。そのために、毎回子供と戦うことになります。

私が心がけていることはできるだけ子供を商業施設に連れていかないようにするということです。やはり目につくと誰しも欲しくなるからです。もう一つはお金を持っていかないということ。

また、家の近くに小さなコンビニのようなスーパーがあるのですが、子供にねだられた場合は「80円で買えるものにして」と子供と交渉をします。だんだん子供も知恵をつけ、記憶力も増していくので、「あの時ご褒美に買ってくれると言ったでしょう」と覚えているので適当なごまかしは効かなくなってきます。早い段階でお小遣い制に切り替えていこうと考えています。

子供の教育に正解はないですが、子供の年齢に応じて親もお金のことを教え、お金を管理し、自制する方法を一緒に考えていく必要があります。それは大きくなった時の親からのプレゼントになるでしょう。全くやってこなかったという人も、お互いに負担になり過ぎない小さなことから始めてみるのでもいいと思います。

筆者プロフィール

花輪陽子

外資系投資銀を経てFPとして独立。著書に『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』、監修本にジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中ロ朝鮮半島の激変から人とお金が向かう先を見抜く』 (講談社+α新書)など。

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