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財布が別々のDINKs夫婦。お互いの収入を知らないまま資産形成できる?-  FPに聞く資産形成シリーズ | マネーツリー
将来に備える

財布が別々のDINKs夫婦。お互いの収入を知らないまま資産形成できる?- FPに聞く資産形成シリーズ | マネーツリー

武藤貴子
2020
08
28

お互いの収入を知らないまま夫婦の資産形成はできますか。

子どものいない共働き家庭です。結婚以来、夫婦の財布が別々です。支出項目はそれぞれ分担していますが、あとはお互い自由にお金を使っています。夫は収入を知られたくないのかお金の話を避けがちで、夫婦の貯金も将来に向けた資産形成もしていません。把握しているのは、生活費口座に余っているお金のみです。子どもを持つつもりがないので教育費などはかかりませんが、このままで良いのか不安を感じています。。お互いの収入を知らないまま夫婦の資産形成はできますか。

家族構成:夫/会社員(28)、妻/会社員(29)
手取り年収
:夫/不明、妻/約500万円

加入年金:夫/厚生年金、妻/厚生年金
退職金:夫/不明、妻/あり

現在の保有資産は以下の通り


【その他】

妻の普通預金:3,590,138円
夫の預金等
:不明

ある1ヶ月の支出は以下の通り

1ヶ月の支出


【今後想定しているライフイベント】
・10年後:マイホーム購入


【想定している年間イベント】
・帰省(年4回 夫婦それぞれの実家2回ずつ)
・国内旅行(年2~3回)

お金のプロからのアドバイス

お互いの収入を知らない共働き家庭は、意外と多いものです。それぞれ収入があるからこそ、何か困った事態にならない限り、別々の財布のまま何年も結婚生活を続けてしまうケースは少なくありません。何となくそうなってしまっただけでなく、配偶者に自分の収入を知られたくないことから、お金の話し合いを避けている家庭も見られます。では、夫婦でお互いの収入を知らずに資産形成はできるのでしょうか。相談者の事例をもとに、解説していきます。


夫婦の財布が別々だと起きる弊害とは

最近では共働きが増え、夫婦がともに経済的に自立している家庭が多く見られるようになりました。中でも、相談者のように子どもを持たないDINKs夫婦は、出産や進学といった子どもに関するライフイベントがないことから、育休取得や時短勤務による収入減や、進学による出費増など収支の変化もさほど大きくありません。お互いが必要な生活費を出し合い、あとは自由にお金を使う。それで生活が成り立つなら、特に問題はないように思えます。

しかし、普段はやり過ごすことができても、家族として生活している以上、何らかのきっかけでお互いの収入に向き合わなければいけない時が来るものです。さらには、相手の収入を知ると同時に、「お互い全く貯めていなかった」ことが発覚するケースも珍しくはありません。夫婦ともに安定収入があると、「向こうはきっと貯めているはず」と安心してしまい、自分は好きなだけお金を使ってしまう人は多いのです。それが一方だけならまだしも、「ふたを開けてみれば双方が貯金ゼロ」となれば、問題でしょう。夫婦の財布が別々で、さらにお金の話し合いをしていないと、このようなことが起きかねないのです。

こうした事態を避けるには、収入や資産の情報をシェアし、夫婦が一緒になって家計管理や資産形成を行うことが大切です。しかし、今回の相談者の夫がそうであるように、自分の収入を知られることに抵抗がある人もいるでしょう。また、家計管理のためとはいえ、収入の全てを管理されるのは息苦しさを感じるものです。では、このような点をクリアしながら家計管理や資産形成を行うには、どうすればいいのでしょうか。

共働き家庭の家計管理方法


1.生活費はアプリで情報共有する

まず、夫婦で家計管理を行う基本は、「生活費の情報を共有すること」です。夫が家賃などの固定費、妻が食費や雑費などの変動費など、それぞれが自身の口座から決められた生活費を支払う家庭は多いかもしれませんが、このままは「家族としての出費」がいくらなのか見えません。その結果、無駄な出費に気付かないなど弊害が多くなってしまうのです。

それなら、「生活費口座を一つにまとめればいいのでは」と思いますが、これまで別々だった口座を一つするのは簡単ではないでしょう。すでに決まっている引き落とし口座やクレジットカードをわざわざ変更するのは、意外と大きな手間で挫折する恐れもあります。

そこでおすすめなのが、マネーツリーアプリを夫婦がそれぞれ登録し、一緒に家計簿をつけながら生活費の情報を共有する方法です。生活費が引き落とされる口座やクレジットカードなどを(口座所有者本人の同意のもと)アプリと連携させれば、口座残高や利用明細を自動で取得してくれます。現状では家計簿が夫に共有されていないため、夫が現金で支出している生活費が反映されていませんが、夫婦で家計簿をシェアし、さらに夫に現金分を記録してもらえば、生活費口座がそれぞれあっても簡単に家計管理ができます。

2.家計簿共有も全ては紐づけない

生活費や資産の情報を共有する時気を付けたいのが、夫婦間にプライベートを設けるという点です。今回の相談者の夫は特に、収入を妻に伝えたくない、その結果、夫婦でお金の話し合いが進んでいないという課題があります。それなのに、家計管理や資産形成のためだからといって、無理に収入や資産の情報を全て共有しようとしてもうまくいきません。

そこで、アプリには生活費や後述する貯金、予備費口座など「家族として管理する口座のみ」を紐づけ、夫や妻自身の貯金にはプライベートを設けましょう。また、「自分のための買い物は家計簿に記録しない」などルールを決めるのもいいでしょう。こうすることで息苦しさが減り、家計管理や資産形成に積極的になってくれることが期待できます。

3.貯金口座と予備費口座を作る

生活費口座の他に作成したいのが、「貯金口座」と「予備費口座」です。貯金口座も夫婦で共有するのが理想的と思われますが、アプリで共有していれば、夫と妻それぞれが目的別に貯めていき、情報だけシェアすることも可能です。「予備費口座」は、帰省、家電や家具の買い替え、冠婚葬祭、年払いの保険料や税金、突然のケガや病気など不定期にかかる費用や突発的な費用に備えるための口座です。

そして、お互いの収入や資産を知らないまま家計管理や資産形成を成功させる秘訣は、「家族として管理するお金」の割合を多くすることです。特に、将来のためやいざという時のお金を夫婦でしっかり貯めていれば、何かあった時に「貯金ゼロ」で困る事態は避けられます。「何にいくら出す必要があるのか」を夫婦で明確にし、一緒に貯めていく。さらに、資産が増えていく様子がアプリで共有できれば、モチベーションアップは間違いありません。

将来に向けて何のお金をどうやって貯める?

家計管理と同時に進めたいのが、将来に向けての資産形成です。相談者の家庭では、具体的な話は進んでいないものの、10年後にマイホーム購入を予定しているといいます。家を買う時には住宅ローンを組む家庭がほとんどですが、物件価格の全額をローンで借りるのではなく、その一部を頭金として自己資金から出すのが一般的です。住宅金融支援機構の「2018年度 フラット35利用者調査」によると、物件の資金調達内訳のうち、自己資金の平均額は636.5万円でした(注文住宅融資利用者)。これは、物件価格(土地購入費用含む)の18.7%となります。よく「頭金は物件価格の2割」と言われますが、実際のデータでも、同程度の頭金を用意している人が多いようです。

そこで、相談者の家庭が10年後に4,000万円のマイホーム購入を目指し、頭金はその2割の800万円を用意すると仮定してみました(一般的には、住宅購入には年収等を考慮した資金計画が必要です。また、頭金のほかに引っ越し費用などの諸費用が別途かかります)。単純計算では、毎年80万円を、月々では約6万7,000円の積み立てとなります。頭金は、勤務先に財形貯蓄制度がある場合は財形住宅貯蓄(財形年金貯蓄と合計して550万円まで非課税)でもいいですが、金融機関の自動積立定期預金などを活用しましょう。給与から天引きで別口座に貯められるので手間がありませんし、こちらもアプリと紐づけておけば、お金が貯まっていく様子が一目でわかります。

一つ注意したいのは、いざ住宅ローンを組むとなれば、お互いの収入、資産を明らかにせざるを得ないということです。だからこそ、その時になっていきなり開示を求めるのではなく、資金計画の段階から物件価格を相談するなどし、情報共有の意識を高めていくことが大切です。

予備費で貯金の目減りを防ぐ

このほか、予備費口座を作り、貯金の目減りを防ぎましょう。予備費の内容は先ほど記載した通りですが、相談者の家庭では、年4回の帰省と年2~3回の国内旅行を予定しています。これらの費用を予備費に含めるのもいいでしょう。下の図は、ゼロから貯金を始め毎年100万円(月5万円×12ヶ月+ボーナスから20万円×2回)を貯めるとした時の2パターンのシミュレーションです。左は、貯金と予備費を分け貯金に手を付けなかったケースです。右は、予備費にあたる出費(帰省1回あたり5万円×年4回+国内旅行1回あたり10万円×年2回+その他の出費)を貯金から出してしまったケースです。貯金と予備費を分けていないと、貯金がどんどん減っていくことがわかります。予備費を作ることで、将来の貯金に手を付けるのを防ぐ効果があるのです。

相談者の資産形成をまとめますと、たとえば、

・夫…住宅取得資金(頭金)の積立(6万7,000円/月)、その他貯金(2.5万円/月+ボーナス10万円×年2回)
・妻…予備費(6万円/月)、その他貯金(2.5万円/月+ボーナス10万円×年2回)

ができればまずは御の字でしょう。ただし、夫の収入や資産が明確ではない以上、金額は二人で話し合い決めていくことが必要です。


夫婦でお金の情報共有を

今回は、財布が別々でお互いの収入や資産を知らない共働き夫婦が家計管理、資産形成を行う方法をアドバイスしました。とはいえ、できることなら機会を設けお互いの収入、資産を伝えておくことがベストでしょう。それが難しい場合は、家族としての家計や資産の情報をシェアし、共有するお金を可能な限り多くすることが大切です。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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