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確定申告が必要なケースとその方法
制度を知る

確定申告が必要なケースとその方法

武藤貴子
2018
01
26

会社員の人にはあまりなじみのない「確定申告」。しかし、たとえば副業をしていて給与以外に一定の収入がある場合などは、決められた時期に所定の方法で確定申告をする必要があります。そこで今回は、会社員でも確定申告が必要なケースや、その方法についてまとめてみました。「自分にはあまり関係なさそう」とは思わず、一度しっかり確認してみましょう。

会社員でも確定申告が必要なケース

先日、マネー相談に訪れたAさんは、アパレル企業で働く会社員の女性。仕事はやりがいがあり楽しいものの、給料がなかなか上がらないことが悩みの種でした。そこで、空いている時間を利用し、クラウドソーシングの副業を始めました。

しかし、「収入が増えた時の確定申告をどう行えばいいのかわからない」と慌ててしまったのだそうです。Aさんのように、給与以外に収入ができた時、必ず確定申告をしなければいけないのでしょうか。会社員でも確定申告が必要になる主なケースを確認してみましょう。

<給与の年間収入金額が2,000万円を超える人>
給与収入が年間2,000万円を超える場合、年末調整の対象とはならず、自分で確定申告を行う必要があります。

<給与の支払いを1カ所から受けていて、給与所得および退職所得以外の所得の合計金額が20万円を超える人>
副業をしている人に当てはまる可能性があるのが、このケースです。勤め先の会社からもらう給与以外に、年間20万円以上の所得がある人は、確定申告しましょう。

<給与の支払いを2カ所から受けていて、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得の合計金額が20万円を超える人>
いわゆるダブルワーク(複業)や、その他にも副業をしている場合に想定されるケースです。年末調整を受けていない(メインでない)方の収入と、その他の所得の合計金額が20万円を超える場合も、確定申告を行う義務が生じます。

なお、副業をしていて、「年間の売り上げが20万円を超えたから、確定申告が必要」とすぐに判断してしまうのは早計です。確定申告をする必要があるかの基準は、収入から必要経費を差し引いた所得金額が20万円になるかどうかです。副業を行うのにかかった経費は、しっかりと把握しておきましょう。

確定申告が必要な副業の所得の種類とは

さて、ひと口に副業といっても、「どのような副業を行うか」によって、所得の種類が変わります。会社員の副業として、主に想定されるものがどの所得に分類されるのかを挙げてみました。

・内職やクラウドソーシング…事業所得(雑所得)
・アフィリエイトやネットビジネス、ネットオークション、FX…雑所得
・株式など金融商品の売買…譲渡所得
・マンションや駐車場など不動産の賃貸…不動産所得

内職やクラウドソーシングは、事業所得または雑所得に分類されます。主に、「継続した期間、安定した収入が得られるかどうか」といった基準により、いずれの所得に当てはまるのかを判断します。アフィリエイトなどインターネットから収入を得る副業は、それによって生計を立てるほどの継続収入ではないという判断から雑所得に分類されています。しかし、本業と並ぶ、またはそれを超える事業規模になる場合は、事業所得と見なすこともあります。

株式の売買は一時的な収入の場合は譲渡所得になりますが、積極的に利益を出すため繰り返し売買している場合には、事業所得とすべきケースもあります。自分が行っている副業やこれから取り組もうとしている副業があれば、どのような所得に分類されるのかも把握しておきましょう。

確定申告はどこでどのように行えばいい?

それでは、確定申告はいつ、どこでどのように行えばいいのでしょうか。確定申告は、毎年2月16日~3月15日の間に、確定申告書を納税地(住所地または居住地)の税務署へ提出し、納税するという流れになります。確定申告書は近くの税務署に取りに行くか、もしくは税務署から郵送してもらう手続きをしなければなりません。ただし、前年も青色申告で申告を行った人や事業所得者などの場合は、あらかじめ税務署から申告書が送付されてきます。

確定申告書を提出するには、税務署の窓口に持参する、税務署に郵送する、自宅のパソコンからe-Tax(電子申告)を行うという方法があります。また、納税地を管轄する税務署の申告相談会場で確定申告の相談をしたり、申告書を作成したりできます。特に、確定申告が初めての人は、わからないことが多いはず。会場の相談員に聞けば丁寧に教えてくれますので、ぜひ活用してみましょう。

また、確定申告において必要になる書類がありますので、慌てることのないよう前もって揃えておきましょう。会社員で副業をしている人の場合、確定申告書、給与所得の源泉徴収票、報酬等の支払調書などが必要書類となります。確定申告で医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合、それらの必要書類も用意しておいてください。必要な書類がわからない場合は、税務署に問い合わせて確認してみましょう。なお、現在は確定申告書にマイナンバーを記載する箇所があり、窓口に持参する場合はマイナンバーの提示、郵送などで送付する場合はコピーの添付が必要になります。こちらも忘れずに用意しておきましょう。

会社員の誰もが経験するわけではない確定申告。会社の年末調整と違い、自分で手続きするのは面倒と感じることもあるでしょう。しかし、副業などで給与所得以外の収入ができ一定の金額を超えた場合、確定申告は必ず行わなくてはなりません。はじめは戸惑うかもしれませんが、申告相談会場で相談するなどし、やり方を覚えていきましょう。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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