ブログ
/
盛り上がるボイスベースのEコマース
トレンドを知る

盛り上がるボイスベースのEコマース

大谷和利
2017
11
28

前回コラムで取り上げたスマートスピーカーですが、今回は、再びスマートスピーカーとフィンテックをテーマに、現状での日米における違いに言及してみたいと思います。

スマートスピーカーを巡る覇権争い

これらの製品の中で、現実にフィンテック的な動きとの連携が行われているのは、アメリカで先行するGoogle HomeとAmazon Echoなので、この2つを中心に話を進めていきましょう。

まずは余談ですが、Amazon Echoは、当然ながらアマゾンのEコマースの入り口として電子御用聞き的な役割も担っています。これに対し、Google Homeは一般的な音声検索では有利でしたが、グーグルが自社でEコマース事業を抱えているわけではないので、この面ではアマゾンに対抗できないのではとの見方もありました。

そこでグーグルは、Google Expressという通販プラットフォームを立ち上げ、コストコやトイザらス、ロクシタン、バーンズ&ノーブル(書籍分野でのアマゾンのライバル企業)などと組んで即日配達サービスを行ってきた経緯があります。

最近になって、このGoogle Expressの取り組みに、強い味方が現れました。それは、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートです(ちなみに、日本の西友も同社の傘下に入っています)。

ウォルマートは売上額でも世界トップの企業ですが、近年はアマゾンの事業拡張や自然派スーパーチェーンのホールフーズ(実は、Google Expressにも参加しています)の買収などによって、その地位が脅かされ始めていました。
 ウォルマートも実店舗だけでなくEコマースにも力を入れているものの、さすがにアマゾンのようなIT系ビジネスには手を出しておらず、スマートスピーカーを自社で手がけるノウハウも戦略もありませんでした。そこで、グーグルと協業し、顧客が登録したウォルマートアカウントをGoogle Expressに紐付けることで、Google Homeから声による発注を可能としたわけです。

このように、アメリカではEコマースにおいてもスマートスピーカーを巡る覇権争いが起こるほど、この分野が重要視されてきています。それでは、フィンテック関連ではどのような動きがあるのでしょうか?

スマートスピーカー対応のフィンテック動向

前々回のコラムでも触れたように、スマートスピーカーのフィンテックへの応用は、色々な可能性を秘めています。デバイス自体の導入が開始されたばかりの日本でも、たとえばGoogle Homeでは、今日の株価を訊くと日経平均を教えてくれる程度のことができ、Amazon Echoになると、実際にみずほ銀行や三井住友銀行が対話による金融サービス(当初は、預金口座の残高や入出金明細の照会)までサポートされています。

また、同じくAmazon Echo向けですが、住信SBIネット銀行株式会社は同銀行の残高照会と為替レートの確認を、じぶん銀行は、AIによる外貨予測(1営業日後、および5営業日後の予測)、スポーツくじ BIGのキャリーオーバー金額・販売情報、および保有資産残高の確認を、それぞれ行えるようにしていますし、この他に証券会社や信販会社なども株価や請求額、ポイント保有数などを紹介できるサービスを提供中です。
 処理内容が照会や確認のみなのは、それ以上のことを行うには金融法の整備が必要なためですが、近い将来には資金移動や貯蓄、資産形成サービスなどへの対応も行なっていくとされています。

一方でアメリカでは、やはりAmazon Echoがリードする形で、米金融大手のキャピタルワン・フィナンシャルやU.S.バンクが高度な預金・支払い管理(口座からのカードやローンの支払いなども含む)を声で行えるようにしているほか、シティバンクもテスト運用を行なって前向きに検討中です。

Google Homeの展開としては、イギリスでモバイルバンキングサービスに力を入れているスターリングバンクが残高確認や送金を行えるようにしており、今後、さらなる機能を追加することを表明しています。

今は、スマートスピーカーが日本市場に導入されただけでも話題になり、実際にも大きな意義がありますが、早く欧米並みのサービスが日本でも開始され、製品の利用価値が高まることを願う今日この頃です。

筆者プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター,原宿AssistOnアドバイザー,自称路上写真家。Macintosh専門誌, デザイン評論誌, 自転車雑誌などの誌上でコンピュータ,カメラ,写真,デザイン,自転車分野の文筆活動を行うかたわら,製品開発のコンサルティングも手がける。<a href="http://www.assiston.co.jp/shopinfo" rel="nofollow" target="_blank">原宿アシストオンのウェブサイト</a>

この記事をシェアする

当社ウェブサイトは、外部サイトへのリンクを含んでおります。リンク先サイトでの個人情報への取扱いに関しては、そのリンク先サイトでの個人情報保護方針をご確認ください。 当社の個人情報保護方針はそのリンク先サイトで提供されている内容に責任を負うものではありません。

Get the Moneytree app
ポイントも電子マネーもまとめて管理
さっそくMoneytreeを試してみよう

これからの時代の強い味方
Moneytreeで資産管理を始めよう

関連記事