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ゲーム内経済とブロックチェーン
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ゲーム内経済とブロックチェーン

大谷和利
2018
03
30

読者の皆さんは、MMOGやMMORPGという言葉を耳にしたことがありますか? 何でも略してしまう風潮には、その分野に精通した人以外、それが何を意味しているのかわからなくなるという弊害があり、筆者としては両手を挙げての賛成はできません。

しかし、この2つに関しては、元の単語があまりに長いので、さすがに略称を使わざるえないと思わせるところがあります。MMOGは"Massively Multiplayer Online Game"、そして、MMORPGは"Massively Multiplayer Online Role-Playing Game"の略称です。直訳すると、前者は「大規模なマルチプレーヤータイプのオンラインゲーム」であり、後者は「大規模なマルチプレーヤータイプのオンラインロールプレイングゲーム」となります。

これらのジャンルに属するゲームのポイントは、"Massively Multiplayer"、つまり、世界中から大勢のプレーヤーが参加して、生身の人間同士が競い合っている、ということです。

近づきつつある現実と仮想の経済

かつてはコンピュータを対戦相手とするゲームが主流でしたが、インターネットとスマートデバイスの普及によって、過去には想像もつかなかったほど不特定多数の人たちが同時に1つのゲーム世界にアクセスして、戦いを繰り広げることが可能となりました。

実際に遊んだことのない人でも、テレビやスマートフォンの無料アプリ内の広告で、「モバイルストライク(モバスト)」や「ゲーム・オブ・ウォー」、「クラッシュ・オブ・クラン(クラクラ)」、「グランブルーファンタジー(グラブル)」、「ファイナルファンタジー」などのイメージ映像やゲーム画面を目にしたことがあるかもしれません。

筆者もMMOG系のゲームで少しだけ遊んだ経験がありますが、ゲームメーカーもビジネスですから、基本的なところは無料で楽しめても、あるレベルから先に進もうとするとすると、お金がかかる仕組みになっています。

大勢の人が(仮想的であっても)集まり、お金が動くという状況は、そこに経済が生まれることを意味します。これが、いわゆる「ゲーム内経済」と呼ばれるもので、アメリカの例では、メーカーが課金ユーザー1人あたり(ゲーム内の仮想アイテム購入などに)平均550ドルの収益を得ているゲームが存在したり、モバイルゲームのプレーヤーは月平均で約10ドルをアプリ内購入に使っている、との調査結果もあるのです。これは、参加者の人数の多さを考えると、決して無視できない経済規模といえるでしょう。

見えにくい犯罪をブロックチェーンで防ぐ

こうしたゲーム内経済を持つゲームの課金システムは様々ですが、共通するのは、現実の通貨、またはゲーム内だけで通用する通貨を使って、装備や武器などのアイテムの入手やアップグレードを行いながら、戦いやステージをクリアしていくという仕組みです。

ゲーム内通貨は、現実の通貨を使って購入したり、ゲームを進める中で獲得できたりしますが、後者のみで無料で遊べる場合でも、先を急ぎたいあまり課金に応じるプレーヤーも少なからず居て、それが収益につながりうる傾向があります。

現状のゲーム内通貨は、いわゆる仮想通貨や暗号化通貨とは異なるものの、将来的にはある程度融合して行ったり、少なくとも、現実の通貨でゲーム内通貨を買うことができる今のシステムの延長として、暗号化通貨でゲーム内通貨を買えるようになる可能性が出てきそうです。

さて、このようなゲームの世界では、希少性のあるアイテムを入手できれば勝負を有利に進められるので、本気のプレーヤーたちはそれなりの(現実の)お金を使って、何とか手に入れようとします。そこに犯罪者が付け入る隙があり、ゲームシステムの不備やバグなどを見つけてレアなアイテムを不法にデュープ(複製)し、それを自分で利用したり、ゲーム内外の売買システムやオークションなどを通じて売りさばくような事件が発生しています。

現実の社会でいえば、ブランド商品のコピーを作って販売するようなものですが、デジタルの世界では、類似品ではなく、まったく同一のアイテムが作れてしまうため、市場経済(この場合は、ゲーム内経済)への打撃や他のプレーヤーが被る不利益の大きさは計り知れません。

そこで、一説には正規アイテムの7~8倍にもなるといわれる複製アイテムの流通に歯止めをかけるために期待され、一部では、すでに導入が始まっている技術が、ブロックチェーンです。

ご存知のように分散型のデジタル台帳ともいえるブロックチェーンは、取引などの記録をすべて分散して記録し、改ざんが非常に困難な上、オリジナルの情報の出所や所有権の変遷などを追跡することができます。そこで、これをゲーム内経済にも応用して、個々のアイテムの正統性を担保しようというわけです。

個人的には、1日も早く、日本の公文書の管理にブロックチェーンを導入すべきと感じていますが、ゲーム業界で先に普及が進み、不正が一掃される日のほうが近いのかもしれません。

筆者プロフィール

大谷和利

テクノロジーライター,原宿AssistOnアドバイザー,自称路上写真家。Macintosh専門誌, デザイン評論誌, 自転車雑誌などの誌上でコンピュータ,カメラ,写真,デザイン,自転車分野の文筆活動を行うかたわら,製品開発のコンサルティングも手がける。<a href="http://www.assiston.co.jp/shopinfo" rel="nofollow" target="_blank">原宿アシストオンのウェブサイト</a>

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