大学で非常勤講師を務める著者が、大学生から投げかけられる疑問に答えます。

近年、キャッシュレス決済が注目されており、さらなる普及が見込まれています。しかし、「キャッシュレス決済だとお金を使いすぎてしまいそう」という心配をしている人もいることでしょう。そこで今回は、「上手にキャッシュレス決済と付き合う方法」についてお話しします。

キャッシュレス決済は今後も拡大する

ここ数年、キャッシュレス決済が注目されていますが、キャッシュレス決済が登場したのは最近ではありません。クレジットカードやプリペイドカードはキャッシュレス決済の一種で、日本でも長く使われています。電車に乗るときに使うICカードもクレジットカード・プリペイドカードの機能を持ったもののあります。

このようにキャッシュレス決済自体は昔からあったのですが、近年では、スマートフォンをかざしたり、スマートフォンのカメラでQRコードを読み込んだりすることで決済ができる、新しいキャッシュレス決済の普及が進んでいます。

世界に目を向けると、スマートフォンを使った決済方法は多くの国で普及しています。経済産業省によると、日本における2015年のキャッシュレス決済比率はまだ2割程度にとどまっていますが、2027年6月までに倍の4割程度を目指すとしています(※)。

今後もキャッシュレス決済が広がっていくのは確実です。

※経済産業省 2018年5月「キャッシュレスの現状と今後の取り組み」より

キャッシュレス決済は浪費につながるのか?

しかし、まだまだキャッシュレス決済に抵抗感がある人が多いのも事実です。キャッシュレス決済に対して「浪費してしまいそう」「金銭感覚がマヒしそう」など、ネガティブなイメージを持つ人も少なくないようです。

「クレジットカードにすると支出が増えてしまう」とする主張もありますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

私はそうは思いません。「クレジットカード(キャッシュレス)だからお金を使ってしまう」のではなく、「使っていいお金がどれだけあるかわからない」、あるいは「使っていいお金がたくさんあると思っている」から、お金を使いすぎてしまうのです。

クレジットカードの引き落とし口座に1万円しか入っていないことを知っていたら、カードで5万円の買い物をしようとは思わないはずです。

現金主義者が無駄遣いをしないのなら、「(口座に)給料が入ったから、今日はいつもよりリッチなディナーにしよう」と考えることもないでしょう。

結局、自分のお金をしっかりと把握しないで生活している人は、キャッシュレスかどうかに関わらず、必要のないものにお金を使いすぎてしまいがちなのです。

使ったお金の管理も簡単になっている

お金の管理ができていれば、キャッシュレス社会になっても、堅実に生活していくことができるのではないでしょうか。とは言うものの、お金を上手に管理するのは難しいと感じていませんか?

スマートフォンの普及によって、キャッシュレス決済が広がりを見せつつありますが、お金にまつわる技術の進歩はそれだけではありません。お金の管理を助けてくれる技術も多く登場しています。

例えば、アプリを使えば、銀行の預貯金残高をリアルタイムで確認することができます。お店で買いたいものがあったとしても、その場で残高を見て考えることができるでしょう。

また、家計簿と言えば、昔は手書きかパソコンで入力するしかなかったのですが、レシートをスキャンするだけの家計簿アプリもあります。しかも、銀行やクレジットカードの情報と連携して、自分のお金に関するデータを一元化することも可能です。

最新技術以外に、「貯蓄に回しておきたいお金は使ってしまわないように別口座に移しておく」といった、昔ながらのアナログな対策も有効です。

最新技術と昔からある対策をフル活用することで、忙しい人でもお金の管理を簡単にすることができる世の中になっているのです。

キャンペーンに飛びつかないことも大切

ただ、最後に注意しておきたいことがあります。

クレジットカードでもスマホ決済・QRコード決済でも、決済手段をたくさん持ちすぎないようにしてください。

新しくカードを作るとポイントが付与されたり、ポイント還元率がアップしたりすることがあります。QRコード決済でも、利用金額に応じたキャッシュバックが受けられるキャンペーンなどが行われています。

もちろん、お得なサービスなので利用しない手はありません。ですが、「ポイントやキャッシュバックが目的」になってしまうのは危険です。「今ならポイント還元率が上がるから」と、必要でないものまで買ってしまっては意味がありません。しかも、決済手段がたくさんあると、その分だけ多くのポイントを管理しなければならなくなり、管理が面倒になってやめてしまうという本末転倒な結果にもなりかねません。

お金もポイントも、無理なく管理できる範囲にとどめておくことが、上手にお金とつきあうコツです。

まとめ

日本でも世界でも、キャッシュレス決済が広がっていくのは確実でしょう。近い将来、現金を見る機会がほとんどない世の中になるかもしれません。だからこそ、お金ともキャッシュレス決済とも上手につきあうことができるようになっておきたいものです。

新しい技術は、上手に使えばあなたの味方になってくれる頼もしい存在です。お金の管理をすることは、しっかりと貯蓄していく助けにもなるので、簡単にお金の管理をしながら少しずつキャッシュレスに慣れるところから始めてみてはどうでしょうか。


執筆者:横山 研太郎

ねこのて合同会社 代表。1978年大阪生まれ。1級ファイナンシャルプランニング技能士。保険と投資をミックスした「守りと攻めを両立させる」資産形成プランを提案する。大学の非常勤講師を務めるなど、金融教育にも積極的に取り組んでいる。

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