投資を始めようと思い立って情報収集をしてみると、その種類や手法の多さに戸惑ってしまうものです。では、自分に合う投資方法を見つけるには、どうすればいいのでしょうか。昨年は、株式投資や不動産投資を行なっている人の事例を紹介しました。 今回は、個人型確定拠出年金(iDeCo)で投資信託の運用を始めたNさん(36歳・女性)とNISA(少額投資非課税制度)を活用しているOさん(34歳・男性)の事例をご紹介します。

自分に合う投資方法にはこうして出会った

いずれも、近ごろ話題となっている制度で商品を運用しているNさんとOさん。では、二人はそれぞれ、どのようなきっかけで自分に合う投資方法に出会うことができたのでしょうか。

<iDeCoで投資信託を運用しているNさん>
派遣社員として勤務し、一人暮らしのNさん。今後の生活や老後資金に不安を感じるようになり、お金の勉強の一環としてお金のセミナーに顔を出すようになったといいます。

ある日、Nさんが参加したセミナーでは、老後資金を準備する方法として、確定拠出年金(以下「DC」)が紹介されていました。確定拠出年金には会社が退職金制度として導入している企業型と、個人が任意で加入する個人型(以下「iDeCo」)とがあることを知りました。そして、iDeCoの運用商品として勧められていたのが、投資信託でした。

それまでのNさんは、投資には怖いイメージがあり、「食わず嫌い」の状態でした。資産運用といえば、銀行の普通預金に現金を預ける以外は、元本の保証された保険や定期預金程度。「収入も限られているし、少しでも損をするリスクは絶対に負いたくない」という考えだったそうです。

しかし、将来インフレが起きた時には、お金を寝かせているだけでは価値が目減りしてしまうことを知りました。そして、投資という方法で「お金にも働いてもらう」必要性を感じるようになり、分散投資が可能な投資信託を始めてみようと思い始めたのだそうです。

<NISAを活用するOさん>
Oさんが投資を始めようと思ったきっかけは、使い道のない現金が700万円ほど口座に眠っていたこと。独身で実家暮らし、すぐに大きなお金を使う予定がなかったことで、資産の一部を投資に回してみたいと思ったのだそうです。

いくつかの投資方法をインターネットで調べていくうちに、税制優遇が受けられるNISAが気になりました。NISAとは、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益に対しては税金がかからなくなる制度です。株式投資を行った場合、NISA口座でも株主優待が受けられる点や、IPO(新規公開株)への投資がうまくいけば、非課税の大きなメリットを受けられることを知りました。

投資の経験がないOさんにとって、投資に回してもいい余裕資金があること、そしてNISAなら毎年120万円の投資元本に対する利益が非課税になることなどが投資を始める追い風となりました。本格的に資産運用をするとなった時、少しでも投資の経験があれば役立つことがありそうだと感じたのだそうです。こうして、OさんはNISAで投資をスタートしてみることにしました。

実際に投資を始めるまでの勉強法とは

投資信託やNISAに出会ったNさんやOさんですが、それでは、実際に投資を始めるまでにはどのような勉強をしたのでしょうか。

<iDeCoで投資信託を運用しているNさん>
マネーセミナーで投資信託を知ったNさんは、インターネットの記事を眺めて投資信託の概要を再度確認した後、書籍を購入して勉強を始めます。金融機関などに勧められたものが必ずしも自分にとって良い商品とは限らないと知り、最低限の知識を持っておこうと思ったのだそうです。投資をすることは依然心配だったNさんですが、やり方次第でリスクを軽減することができるとわかり、少し安心できました。

また、特に不安を感じていたのは老後資金だったため、投資信託を知るきっかけともなったiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用を検討。セミナーで講師を務めたファイナンシャルプランナーにも相談し、最終的に、iDeCoで投資信託を運用することに決めました。

セミナーに参加して投資信託を知り、自分で内容をもう一度確認して納得。さらに専門家に相談したことで、自分にとって最善と思える方法で投資を始めることができました。勉強の時間や相談する費用はかかりましたが、将来に真剣に向き合い行動に移すことで、以前より少し不安が和らいだそうです。

<NISAを活用するOさん>
NISAに関する情報は多く、インターネットで少し検索すれば、具体的な運用方法を紹介している個人ブログや専門家の記事などもたくさん見つかります。そうしたものを参考にしつつ、同時に口座開設も行いました。

Oさんは、はじめのうちは「NISAでどのような商品を運用するのがお得か」ばかりを考えていたそうです。しかし、情報収集するうちに、「NISAでどのような運用商品を購入するかだけでなく、資産形成の中でどのように活用するかが大切」ということを学びます。

Oさんは実家暮らしで、当面の間は生活スタイルが変わることを想定していなかったこともあり、最低限の生活費を備えておくことや、近い将来に向けた安全資産の保有、老後資金の蓄えなど、資産配分にまで目が向けられていなかったことに気づいたのです。

そうしてOさんはNISAだけでなく、自分の資産を何にどのくらい振り分けるかということを含めて資産運用を考えるようになりました。具体的な勉強法としては、知識を体系的に得るため、NISAでの運用を始める前に資産運用の書籍を購入し学んだそうです。

NISAの他にも、税制優遇制度としては、DC(確定拠出年金)があります。結婚については不確定要素が多いとしても、老後は誰にでも必ずやってくるもの。そのため、まずは老後資金作りとしてDCを活用し、その運用商品とのバランスを見てNISAでどのような商品を選択するかを考えてみることにしました。その他にも、自分にどのような備えが必要なのかを学ぶようになりました。

投資を始めたのは、余裕資金の活用としてNISAを知ったことがきっかけでしたが、その過程で、「将来を見据え、資産全体を俯瞰する必要性」まで発見できたのは大きな収穫だったそうです。ちなみに、現在Oさんは、NISAでは株式を運用しているということです。

多方面からの情報収集で納得のいく投資方法を見つける

Nさんは、マネーセミナーをきっかけに投資信託を知り、自分で勉強をするだけでなく専門家への相談も経て、最終的に自分にピッタリの方法に出会いました。一方、Oさんは、「NISAで何を買えばいいか」だけではなく、将来にわたる資産形成まで考えつつ、NISAで最適な運用商品を見つけることができました。投資は、焦らず多方面から情報を集め、そして、資産全体のバランスも見ながらスタートさせたいですね。

NさんやOさんのように、「iDeCoやNISAについてまずは書籍から情報を得てみたい」という方には、以下の書籍もおすすめです。参考にしてください。

『一番やさしい!一番くわしい!個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門』
著:竹川美奈子 出版社:ダイヤモンド社
『図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』
著:山崎元 大橋弘祐 出版社:文響社
『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる!お金の貯め方・増やし方』
著:川部紀子 明日香出版社
『“税金ゼロ”でお得すぎ!iDeCo とつみたてNISAにダブル投資入門』
著:井戸美枝 中野晴啓 扶桑社


執筆者:武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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