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30代独身女性、コロナ禍で収入激減。結婚は? 子供は?不確定要素が多い時の資産形成はどうしたら? -  FPに聞く家計相談
将来に備える

30代独身女性、コロナ禍で収入激減。結婚は? 子供は?不確定要素が多い時の資産形成はどうしたら? - FPに聞く家計相談

マネーツリー編集部
2020
06
02

マネーツリーのブログ『FPに聞く家計相談』シリーズでは、個人資産管理サービス「Moneytree」の利用者が抱えるお金のの悩みや不安に、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)がお答えします。

【今回の相談者:Sさん】
年齢:35歳(女性)
家族構成:父/会社員(61)、母/公務員(60)と3人暮らし
職業:美容関係
手取り年収:約330万円
加入年金:国民年金
退職金:なし
その他:終身保険200万円(保険料は両親が支払い済み)

【Sさんのお悩み】
お悩み:新型コロナウイルスの影響で、仕事の収入が減少しています。現在独身で実家暮らしですが、趣味のライブや旅行にお金を使い将来のために何もしてこなかったので、資産形成を始めようとしていた矢先でした。一方で、いつか結婚できればという希望もあります。収入が減っていますが、結婚や老後を考えた時、今何をすればいいでしょうか。結婚する可能性、独身でいる可能性どちらもあるので、どのようになっても困らない資産作りのアドバイスをお願いします。

現在の保有資産は以下の通り
その他普通預金: ¥537,812
合計: ¥1,214,351

FP2-1

ある1ヶ月の支出は以下の通り

FP2-2

その他国民健康保険料:約1万9,000円

【今後想定しているライフイベント】

【想定している年間イベント】


お金のプロからのアドバイス

美容関係のお仕事をされている35歳女性からの相談です。今回の新型コロナウイルスの影響で、2月から仕事先の客足が伸び悩み、インセンティブがつかず収入が激減しているということ。こうした状況下だからこそ、将来を見据えた資産形成を冷静に行っていきたいという希望をお持ちです。収入は減ってしまいましたが、実家暮らしで固定費の負担が大きくないことや、ライブや旅行に使っていた出費がなくなることを考えれば、工夫次第で余剰を出し備えていくことは可能です。具体的な方法を事例とともに解説します。

新型コロナウイルスで収入減。優先すべきことは?

新型コロナウイルスによる外出自粛で勤務先の売り上げが激減し、月収が普段より8万円以上も減ってしまったという相談者。相談内容である将来への備えについて解説する前に、まずは、現在のような非常事態時の家計の守り方に少しに触れたいと思います。

本稿の執筆時である5月中旬においては、緊急事態宣言の解除が徐々に発表され始めたものの、これまでのような生活を送ることは未だ難しいのが現状です。感染拡大はいつ頃収束を迎えるのか見通しが立たず、また、一旦収まったかのように見えても第ニ波、第三波に備える必要があるなど、長期戦を覚悟しなければいけない状況となっています。こうした中、多方面で影響が広がり、特に経済への打撃は深刻です。相談者のように、既にに収入が減っている人は非常に多く、また、今後収入がどの程度回復するのか分からない最中にあります。

このような時にはまず、家計をダウンサイジングすることが何より大切です。つまり、できるだけ節約をして、少ない出費に抑えるということです。「もう節約はしている」という人が多いと思いますが、お金の流れを記録していないと無駄な出費に気づきにくいものです。家計簿をつけていないなら、この機会にアプリを始めてみましょう。

その上で、どこまで生活費を少なくできるか試してみてください。収入が減少したままなら、スリム化した家計で乗り切りましょう。幸いすぐに回復したとしても、「いざとなれば、○○円あれば生きていける」という自信になり、気持ちに余裕ができます。相談者の場合、職業柄、美容にかけるお金が高めですが、たとえば美容院に行かず自宅でできるケアに変えるなど工夫すれば、さらに出費を抑えられそうです。

一方で、貯蓄はやめずに続けていきましょう。とにかく今を乗り切ることが大事ですが、「今さえ乗り切れば、今後は何も不測の事態は起きない」というわけではありません。収入が減って家計が圧迫されているなら、一時的に積立額を減らしつつ、極力貯蓄を継続しましょう。また、生活費を優先しつつ、今のような時だからこそ冷静に将来への備えも考えていきたいものです。

ライフプランが不確定な時の将来への備え方

それでは、相談者のお悩みである将来への備えについて見ていきましょう。相談者の場合、この先結婚するか独身でいるか、現段階では不確定です。そのため、どちらを選んでも困らないような資金計画を立てる必要があります。誰にでも必須なのは老後資金ですが、その他にも住宅資金や結婚資金、いざという時の生活費、保険などについても、今後複数の選択肢があることを念頭に置き、しっかり考えておきたいものです。また、「不要不急」であるものの、相談者の楽しみの一つである旅行の費用についても考察してみました。

老後資金
独身、結婚どちらにしても相談者に急務なのは、老後資金の準備です。相談者の場合、雇用形態は正社員でありながらも勤務先で厚生年金に加入できておらず、国民年金の第1号被保険者となっています。さらに、退職金も支給されず、自身で個人年金保険などにも加入していません。そのため、老後の生活資金が不足する恐れがあります。今後のプランに関わらず、少しでも早く準備を進めたいところです。

老後資金を貯める方法はいくつもありますが、おすすめなのは個人型確定拠出年金(iDeCo・iDeCo)です。現役世代ならほぼ誰でも利用できるのに加え、何より節税効果が非常に優れているからです。節税できれば、その分の再投資が可能となり、長期の運用では複利効果を最大限に高めることが期待できます。つまり、老後資金のように長い時間をかける資金準備には最適の方法なのです。

iDeCoでは、毎月拠出できる掛金に上限があり、国民年金の第1号被保険者である相談者の場合、月額6万8,000円です。仮に収入が減った今の状態が続くとなれば、毎月の余剰は4万円程度。これまで老後資金の用意が充分でなかったことを考えれば、できるだけ多く積み立てたいですが、まずは無理なく月1万円程度から始めてもよいでしょう。ただし、今後の様子を見て増額も随時検討していくこととします。なお、iDeCoの最低掛金額は月額5,000円で、金額の変更は年に一度行えます。

住宅資金と結婚資金
今後のライフプランによって準備が必要かどうか大きく分かれるのが、住宅資金と結婚資金です。住宅資金は特に、独身でいる場合に重要となります。現在、実家暮らしである相談者ですが、将来的にも実家に住み続けるのか、マイホームを持つのか、または賃貸に住むのか、考えておかなければなりません。実家に住む場合はいずれリフォーム費用がかかりますし、ローンを組んでマイホームを購入したり賃貸に住み続けたりするなら、老後もローン返済や家賃などの住居費がかかる可能性があります。一方で、結婚を希望していることから、結婚資金にも困らないよう備えておきたいものです。

ただし、ライフプランが決まっていないうえ、住宅資金と結婚資金の両方を積み立てるのは少し負担が大きそうです。そこで、どのような目的にも使えるお金を、次の項目で解説する生活費とは別に、まずは現金で貯めていきます。金額としては、毎月2万円程度から始め、収入の戻り具合で積立を増額することとします。また、ライフプランによっては、預金以外の積立方法もいずれ検討します。

ちなみに、老後資金と結婚、住宅資金については、積立をした場合のシミュレーションをしてみました。老後資金は、iDeCoで毎月1万円、または収入が回復し毎月3万円を60歳まで25年間、年利3%で積み立てたと仮定します(相談者の課税所得を概算したうえで計算)。結婚、住宅資金については毎月2万円、またはこちらも収入が回復し毎月3万円を積み立てたと仮定します。結婚資金を想定した場合は、定期預金で預入期間3年(利息等は考慮しないものとする)、住宅資金を想定した場合は、つみたてNISAを利用して20年間、年利3%で積み立てたとします。

老後資金(iDeCoで60歳まで25年間年利3%で運用)

FP-2-T1

結婚、住宅資金

表2

いざという時の生活費
今回の新型コロナウイルスのように、思いがけない災難によって収入が減少することは今後も考えられます。相談者は、仕事を持つ両親とともに暮らしており、生活に困窮する状況にはありませんが、将来的には自分一人の収入で生活していく可能性があります。そのような時、収入減やリストラなどによって生活費の捻出が苦しくなる事態もあるでしょう。こうした場合に備えるため、最低でも半年程度の生活費を貯めておきます。

ただ、現在すでに約120万円の貯金があります。これをいざという時の生活費とし、住宅や結婚など将来を見据えた積立を別に行えば、生活を守りながら先への備えも可能となります。さらに、毎月5,000~1万円ほど冠婚葬祭等の急な出費に対応する「予備費」を用意しておけば、貯金を切り崩すことがありません。

保険
保険については、現在、県民共済に加入し医療保障を購入しているという相談者。保険料が手ごろで、必要な保障を確保できており、さらに、毎年割戻金も支払われています。一方、死亡時に200万円が支払われる死亡保険に加入しており、こちらは両親が保険料を支払い済みとなっています。保険については、現段階では特に見直しや加入の必要はありません。身内にがんが多いことが気になる場合は、がん保険のみ加入しても良いでしょう。

海外旅行
相談者の趣味の一つが、年1~2回の海外旅行。実家暮らしの強みを生かし、比較的好きなようにお金を使えていたということですが、今回の収入減に加え、今後海外へ行けるのがいつ頃になるのかは見通せない状況です。収入が減った現在も、金額は落としたものの旅行のための積立を毎月1万円行っていますが、このまま継続して問題ないでしょう。ただし、当面旅行へ行けない状況もあり得ますし、現金で貯めておき、万が一の時は生活費の補てん等に使えるようにしておけば安心です。

この時期だからこそ生活を守りつつ資産形成も怠らない

今回の新型コロナウイルスによる影響は、私たちの想像をはるかに上回るほど甚大なものとなりつつあります。生活だけでなく、収入状況が激変している人も少なくありません。とにかく、今を乗り切ることが大切ですが、これからも人生が続いていくことやその人生をより豊かに生きることを考えれば、生活を守りつつ将来に向けた資産形成も怠りたくはありません。だからこそ、毎月の収支だけでなく、資産全体を見渡せる環境作りはとても大切になります。このような時だからこそ、アプリによる記録を始めてみてはいかがでしょうか。

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筆者プロフィール

マネーツリー編集部

2012年に日本で起業。2013年より自動で一括管理する個人資産管理サービス「Moneytree」を提供し、AppleのBest of 2013、Best of 2014を2年連続で受賞。2015年より金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」を企業向けに開始し、業界標準の金融系APIを提供している。2017年よりオーストラリア市場でサービスを開始。創業当初よりSalesforce Ventures、SBIインベストメント、三大メガバンク系ファンド、地方銀行系ベンチャーキャピタル、海外大手運用会社から出資を受ける。お金にまつわるもっとも信頼されるプラットフォームの構築を目指す。

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