前回の「Apple Payなら荷物を持ちながらの支払いも楽々」では、Apple PayはSuica、iD、QUICPayいずれかの電子マネーとして支払いができる「iPhone版おサイフケータイ」のようなものだとお伝えしました。電子マネーしか対応していない自動販売機などでもクレジットカードのポイントが貯められ、お得になる面もあります。大手共通ポイントカードもアプリになっているため、Apple Payを使えば文字通りお財布を出さずにポイントの2重取りもできます。

一方で、Apple Payとクレジットカードの特典に差があるため、Apple Payなら絶対お得とも言えないケースもあります。

「ソラチカカード」と「モバイルSuica」+「LINE Pay カード」

 私は仕事によって日々行く場所が違い、東京メトロを使うことが多いため交通費のメインは「ソラチカカード」を使っています。2年目以降の年会費は2,000円で、クレジットカードそのものの還元率は0.5%程度のため、さほど有利とはいえません。 しかし、定期券外の移動については、東京メトロに1回乗車する度に平日5ポイント、休日15ポイントが貯まります。休日に170円の場所に移動をすると15ポイント貯まるため、還元率は約9%!10ポイント=10円としてPASMOにチャージすることもできますし、貯まったポイントを高いレートでANAマイルに交換できる点も人気のカードです。

乗車ポイントは「ソラチカカード」ならではで、Apple Payに取り込むと通常のJCBカードをQUICPayとして利用することになり、0.5%程度の還元となります。 ApplePayに取り込んではみましたが、私の利用パターンだと出番がなそうです。

交通系で良い勝負や使い分けができそうなのは、Apple Payで登録した「モバイルSuica」に、還元率一律2%の「LINE Pay カード」を使ってチャージをするパターンが挙げられます。

前回もお伝えしましたが、通常、「モバイルSuica」に「ビューカード」以外でチャージをしようとすると年会費が1030円かかりますが、Apple Payで「モバイルSuica」を登録すれば、年会費がかからず手持ちのカードでチャージできるようになります。チャージに使うカードを「LINE Pay カード」にすれば、都営線やJR、バスなどでも実質、常に2%のポイント還元を受けることができます。

定期券外の東京メトロで「ソラチカカード」の還元率を上回るのは難しいかもしれませんが、普段、東京メトロ以外もよく使う場合、Apple Pay+「LINE Pay カード」に1本化してもよさそうです。

カード特有の特典と、Apple Payならではの特典

同様に交通系カードで人気の「ビックカメラSuicaカード」もApple Payに取り込むと、ビックカメラで貯まる10%還元のビックポイントが貯まらなくなります。QUICKPay経由で通常にVISAやJCBで決済した形となり、還元率は1%などに落ちます(カード提示でポイントを獲得することはできます)。

ビックカメラSuicaカードを使ってビックカメラでお買い物をするときは、従来通りSuicaにチャージして支払うのがお得になるでしょう。

クレジットカード以外のポイントサービスが一緒に搭載されているカードの場合、Apple Payではそのポイントを得られないこともあり、慎重に判断する必要がありそうです。しかし、あえてApple Payで決済することで特典が得られるケースもあります。

例えば「dカード ゴールド」をApple Payで利用すればポイント7倍、「au WALLET カード」をApplePayで利用すればポイント5倍や10倍など、驚きの高還元キャンペーンが過去にもありました。

キャンペーンは新たにApple Payに搭載できるようになったカードなどで行われることが多いです。今現在手持ちのカードがApple Pay対応をしていなくても、今後新たなキャンペーンがあるかもしれません。

お得という観点だと、Apple Payを使うことで得られなくなるポイントもあるため、いくつかのケースでは注意が必要です。一方でお財布を持たずに出かけてキャッシュレスで決済できる便利さはとても魅力的です。 自分の手持ちカードがApple Pay対応した際にはキャンペーンなどを使って、有利なタイミングで使い始められると嬉しいですね。


執筆者:風呂内亜矢

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、宅地建物取引士。1978年生まれ。岡山出身。 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです~お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか~』(祥伝社)等がある。