貯めやすくて使いやすいポイントに進化する

新しい共通ポイントができたことによって、これまで各駅ビルが発行していたポイントカードを利用していた顧客は、JRE POINTカードに切り替えることで新しいポイントサービスを受けることができます(切り替えをしなくても、従来の駅ビルカードをそのまま使えるものもあります)。

JRE POINTカードに替えれば1枚のカードで複数の駅ビル店舗で利用できるのですから、いくつものカードを財布に入れておく必要はなくなります。JRE POINTのポイント還元率は100円で1ポイント(1円)=1%ですから、それまでの駅ビルカードと同じです。大きく変わったのは、貯まったポイントを電子マネーのようにすぐに使えるようになったことです。

駅ビルのポイントは500ポイント貯まると500円の商品券と交換できるというものが多かったのですが、JRE POINTではそうした制約がなくなり、1ポイントを1円として買い物に使えるわけです。たとえば、1000円の買い物をしたときに100ポイント貯まっていれば100円分をポイントで支払うことができます。

実際に、JRE POINTに変わってからの顧客のポイントの利用状況を見ると、あまりポイントをたくさん貯めずに100ポイント、200ポイントくらい貯まるとポイント交換している顧客が多いという結果が出ています。買い物にポイントを使うだけではなく、さいたま市の大宮にある鉄道博物館の入場券やメトロポリタンホテルや東京ステーションホテルの優待券と交換することもできます。これなどは、まさにJR東日本のJRE POINTならではのサービスです。

このようにJRE POINTは、バラバラだった駅ビルカードをひとつにまとめポイントを貯めやすくて使いやすいものにしました。その結果、利便性の高い生活密着型のポイントサービスに進化しており、高く評価できます。

JR東日本がポイントサービスの主体に

駅ビルカードのポイントの発行・運営は、各駅ビルの事業会社とテナントが行っていました。JRE POINTの場合は、そこにJR東日本が加わり、JR東日本、駅ビル、テナントの三者によって行われます。駅ビルがJR東日本からポイントを買い、ポイントが使われればJR東日本は駅ビルにそのぶんを戻すという仕組みです。JR東日本とテナントは直接やりとりをするわけでありません。

ポイントの原資の負担者は誰かというと駅ビルです。駅ビルが原資を全額負担しているケースもあれば、販促費という名目でテナントからポイント発行の費用を回収しているところもあり、ケース・バイ・ケース。ですから、最終的なポイント原資の負担者にテナントがなっていることもあります。

駅ビル事業はテナントからの賃料収入のほかに販促費用やクレジットカード、Suicaの手数料などで成り立っています。つまり、駅ビル事業は、床をベースにテナントに対するいろいろなサービスを付加して、その一部、あるいは全部を経費としてテナントに負担してもらうビジネスです。

そのいろいろなサービスの一つがポイントサービスです。今回、JR東日本はJRE POINTという新しい共通ポイントをつくって、そのポイントサービスのレベルを大きく向上させました。

サービスのレベルアップを可能にしたのがサーバーの集約です。これまでは個々の駅ビルがそれぞれサーバーを持ってポイントの運営をしていました。それを一つに集約したのです。JR東日本によれば、それによって効率化が図られ、一つに集約することでスペックの高い装置をシステムに組み込むことができたといいます。

さらに、個人情報のセキュリティー管理の精度が高まったともいいます。セキュリティーに対する要求水準がどんどん厳しくなっているいま、駅ビルが集めた個人情報を個別のサーバーで管理・活用するよりも、一つのサーバーで管理したほうが効率的であり、かつ安全性が高まるというのです。

しかし一方で、情報の集積が進めば進むほど情報流出の際のリスクは高まるわけですから、より一層厳重なセキュリティー管理が求められます。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

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