日本にはお金に関する様々な制度があります。制度を正しく知り活用することを提案する「制度を知ると得するシリーズ」を4回にわたりお届けします。第1回目は「保険」に焦点を当ててみました。

2018年4月は保険料の見直しが予定されています。「今まさに保険の切替や加入を検討している人であれば」、タイミングを前後させることで割安になるかもしれません。

保険をつかさどる大数の法則

さいころを振って1の目が出る確率は1/6ですが、6回さいころを振ったからといって、必ず1の目が1度出るとは限りません。6回振ると1回くらい、12回振ると2回くらい、18回振ると3回くらい1の目が出ることが期待されますが、振る回数が少ないと、例えば6回連続で6の目が出る可能性もありますね。

一方で、さいころを振る回数が増えてくると、期待される回数に近くなり、確率から計算される期待値と結果が近づきます。これを”大数の法則”と呼び、保険商品を設計する際の基礎となっています。多くの契約者を対象とした場合、確率で導き出した死亡や病気の起こる頻度は、概ね正しくなるという考えに基づいています。

保険商品を設計する際の確率の計算に使われているのが、公益財団法人日本アクチュアリー会が作成する「標準生命表」です。年齢毎の死亡や病気の確率を発表しています。

この標準生命表が2018年4月、11年振りに新しい値に更新されるため、それに基づく民間保険会社の商品の価格も変わることが予想(既に一部発表)されています。

長生きになっていることが反映される

新しくなる標準生命表では、日本人が長生きするようになっていることが反映されています。そのため、死亡で考えると、その確率は低くなり、保険料としては安くなる傾向が考えられます。逆に長生きはするものの、病気をして医療を必要とするシーンは起こりやすくなると考えられるため、医療保険については値上がりの傾向となります。

4月から、生命保険料は値下げ、医療保険は値上げの傾向にあるということですね。

新しい保険料は、これから契約する人に対して適用されます。既に加入する保険の保険料が上がるものではありません。

そのため、家庭として考えられる有利な動きは、ちょうど医療保険に入ろうと考えていたり、加入している医療保険を乗り換えようと思っていた人は3月までに、同様に死亡保険の加入を検討していた人は4月以降に、というのが一つの目安になります。

保険は保障を得るもの、損得だけで加入判断はできない

「ちょうど加入を検討していた人は」と何度もお伝えしているのは、保険はそもそも損得で加入の判断を下す種類の商品ではないためです。いずれにせよ加入することを考えていたのであれば、多少タイミングの調整はできるかもしれませんが、そもそも保障が必要なのに加入していない状況を長く続けることや、保障が不要な期間に加入するという判断はないでしょう。

ちなみに、新しい保険に乗り換えを行う場合は、新しい保険に加入してから、既存の保険を解約する流れにするのが適当です。今加入している保険を解約してから、新しい保険に加入しようとすると、保障がない期間が発生しますし、新しい保険加入の審査で健康の問題などで加入できないケースも考えられるためです。

逆に、保障が必要ない期間に、割安だからといって保険に加入した場合、そもそも必要ない保険なので、その保険料分は丸々不要な出費ということになります。3月中が医療保険が安いからといって、十分な預貯金があるにも関わらず、3月までに医療保険に加入した方が有利という話にはなりませんね。

保険加入の基本は、公的保障や現時点での蓄えでは万が一の時に困る分だけ加入することです。保険料の値上げ、値下げに気持ちが迷わないように気を付けたいですね。


執筆者:風呂内亜矢

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、宅地建物取引士。1978年生まれ。岡山出身。 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです~お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか~』(祥伝社)等がある。