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FPに聞きました -「見る」「決める」「変える」の3ステップで、ほったらかしでも貯めるコツ
家計を見直す

FPに聞きました -「見る」「決める」「変える」の3ステップで、ほったらかしでも貯めるコツ

マネーツリー編集部
2019
08
20

家計簿をつけたいと思うものの、あまり長続きしなかったり、ちょっと苦手意識があったりする人も多いかもしれません。今回、苦手意識の原因と誰でも簡単にはじめられる家計管理のコツについてFPの風呂内さんに聞いてきました。

マネーツリー編集部:家計管理が苦手な人も多いかと思いますが、その理由に心当たりはありますか?

風呂内FP:家計管理が苦手な人には、「きっちりやらないと気が済まない」と考えている人が多いかもしれません。家計管理だけでなくて、資産を運用する時や決済の手段を選ぶ時にも起きるのですけど、ベストなものを追求しすぎる部分があるのだと思います。

本当はその時点でベストなものを選ぶよりも、ベターなものを選び続けることの方が累積の効果は大きいんですよね。

どうせやるんだったらきっちりやりたいと思ってしまいがちですが、最善の選択にこだわるのではなく、概ね失敗のない選択はどれかなと考えるのがおすすめです。

マネーツリー編集部:私もやるんだったら、ちゃんと効果が出るものをまず見極めてからと思ってしまいますね。それからでないとはじめられない。貯蓄はダイエットと一緒な気がしてきすね。

風呂内FP:家計管理を苦手に感じるもう一つの理由は、支出の管理からはじめようとするからだと思います。実はこれ、意外にハードルが高い方法なのです。

家計管理には3つの視点があります。1 つ目は支出の管理で、これは一番短いタームのものです。その日、その日で計算しますよね。2つ目は、残高がいくらあるのかを確認する資産の管理。月や年単位で、中期的に見ます。3つ目は、いわゆるライフプランニングシートのように、何歳の時にいくら貯蓄があってといったことを長いタームで考えるものです。

中期に管理する方法が簡単なので、資産管理の推移を見るとこらから入るのがいいと思います。例えば、毎月貯蓄がいくらできているか、を確認するとこからはじめます。

支出を管理しようとすると、目的と方法が逆転してしまいがちです。本当は貯蓄や家計改善がしたいはずなのに、「とにかくしっかり記録しないと」と思い、支出の記録にエネルギーをかけすぎてしまう。そうすると長続きせず、あまり効果に直結しないものです。

マネーツリー編集部:家計管理が苦手でも、簡単に家計管理をマスターするためのステップを教えてください

風呂内FP:1つ目はまず、「見る」ことですね。一番おすすめなのは、家計簿アプリを利用する方法です。アプリと銀行口座やクレジットカードのアカウントを連携して、いろんなところに散らばっているデータをひとまとめにして見ることができます。

アプリが苦手という方は、まずは通帳を見るだけでもいいと思います。過去6ヵ月分を記帳して見るとだいたいのパターンが見えてくるはずです。例えば、家賃や定期的な帰省や旅行など、絶対ある支出のパターンがこれでわかります。

日々の生活におけるお金の出入りを見たい場合はレシートを振り返るのがいいでしょう。1週間分のレシートを取っておいて、これは失敗だったなと思うものにマークをつけていきます。

すると、毎日コンビニに寄っているとか、人に誘われて行った買い物はだいたい失敗している、といったことがわかってきます。失敗した買い物の傾向がつかめると、次からそうした失敗を避けやすくなるでしょう。

マネーツリー編集部:見ることで支出の傾向が分かっても、自分に必要な経費とそうでない経費をどう見分けたらいいですか?私は毎日カフェラテを飲んでしまうのですが、これってラテマネーですよね。。?

風呂内FP:そもそもなぜ「ラテマネー」が問題かというと、小銭で買えるものほど慎重に選ばないことが多いからです。家とかパソコンとか、車を買う時はよく吟味するけど、カフェラテを買う時はあまり吟味しないですよね。

これが、2つ目に必要な「決める」ステップの参考にもなるのですが、そういう時はまず1週間とか1ヵ月に使っているカフェ代の累積の金額を出してみてください。累積額を見て、このくらいの金額で集中力が高められるんだったら全然よろこんで払うよと思うのか、あるいはぎょっとして、嫌だなと思うのか。削るか削らないかの判断は累積額を見て、自分の感情的に嫌か、嫌じゃないかで分けたらいいと思います。

ですが、家計改善で見直すべき項目の優先順位としては、ラテマネーはどちらかというと後の方です。

3つ目の「変える」ステップでは、そもそも家賃に払いすぎていないか、通信費のプランはこれでいいか、保険料って本当にこんなに必要かといった、いわゆる3大固定費に無駄がないかをまずは見直すのがいいでしょう。これらの見直しで勝手に1000円、2000円、支出が削れるかもしれません。そうしたら毎日の支出をどうこう考えなくてもいいかもしれないのです。それがあった上で、まだ家計の見直しが必要と感じる場合は、「決める」ステップで見えた自分にとってのラテマネーを排除していくのが良いと思います。出来るだけ、普段から意識せずに自動的に払っているような支出をまずは見直すことで、ストレスなく家計を改善することができるはずです。

マネーツリー編集部:「見る」、「決める」、「変える」で家計の見直しができたら次のステップはなんでしょうか?

風呂内FP:適切に資産管理ができて、貯蓄もコンスタントにできて、この貯蓄推移で将来的な見通しも大丈夫そうというのが見えてきたら、次は資金をどのように管理していくのかを考えていきます。つまり投資をはじめるかどうかを検討するステップです。

ただ、一概に投資をした方がいいかというのは悩ましい部分です。投資をはじめるだいぶ手前で止まっている人が多いのも事実です。「身の丈の見誤り」と言えばいいでしょうか。高収入でも資産や収入の現状に対して支出の割合が高すぎる家庭は結構多いのです。

たとえば、平均より年収が高ければ、もう少しお金を使ってもいいと思ってしまいがちです。けれど、年収は資産管理におけるファクターのひとつにすぎず、親の贈与があるとか、長年続けてきた貯蓄の習慣、根本的なお金との付き合い方のイロハがある、などの要素も家計が健全に運営されるかに大きな影響を与えます。

年収や貯蓄の習慣に対してライフスタイルが合っていない人に投資を、というのはなかなか厳しいと思います。

とはいえ、現金は景気や物価の変動で価値が相対的に変わってしまいます。家計運営はしっかり健全になっていて一定の貯蓄もある人が、資産の一部を景気や物価に連動するものに形を変えておくという考えで投資するのはいいと思います。

投資で「足りない分を増やして補填する」というのではなく、投資は「自分の持っている資産の価値を維持するために、一部形を変えて持っておく取り組みである」という風に捉えると、投資をもう少し身近に感じやすいかなと思っています。

こういう話をすると、「いくらくらいから投資をはじめてもいいんですか?」という質問をよく受けますが、私は3段階くらいにわけて考えています。

  1. 生活費の3ヵ月から半年分の貯蓄がない人は、投資はまだ待った方がいいかと思います。
  2. それを超えた人は、投資をはじめられますが、必須ではないでしょう。
  3. 貯蓄が500万を越えたら、投資をはじめてよいと思います。

2にあてはまる人と3にあてはまる人で、私のおすすめする投資方針はあんまり違わないですね。基本的には資産を分散させるのが目的なので、ほどよく分散されるインデックスタイプの投資信託をメインに添え、楽しめる人は、一部に株式を取り入れるのがいいかと思います。

また、税制優遇の面で考えると、はじめての投資なら「つみたてNISA」がベストな選択かなと思います。つみたてNISAの対象商品は、たくさんある投資信託とETFの中から160本程度に絞りこまれています。どれもが失敗しないとは言えませんが、すでに絞り込まれた中から選べる上に、資産はすぐに出し入れができます。証券口座によっては月100円からはじめられる気軽さもあります。投資をはじめるなら、「つみたてNISA」が選びやすいのではないかと私は思っています。

マネーツリー編集部:最後に、ため体質になるために気をつけておきたいポイントを教えてください。

風呂内FP:お金は貯めようと思わなければ、基本的には貯まらないものです。なので、機械的に貯める仕組みを作るのが大事だと思っています。

例えば、独身の時は手取りの25%、子供が保育園とか大学生とかお金が入り用の時は手取りの5%、子供が小学生から高校生の間は手取りの10%などの目安を目標に機械的に貯蓄するのがおすすめです。その分は簡単に使えないよう、普段使うお金とは予めよけておくのがいいですね。

毎日いくら貯蓄するというのは結構ストレスが多いですよね。人は失敗しますし、あまり努力とか頑張りをあてにしないで、定額自動入金サービスなどの仕組みを使って貯蓄するのを前提にするのがいいと思います。

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

2012年に日本で起業。2013年より自動で一括管理する個人資産管理サービス「Moneytree」を提供し、AppleのBest of 2013、Best of 2014を2年連続で受賞。2015年より金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」を企業向けに開始し、業界標準の金融系APIを提供している。2017年よりオーストラリア市場でサービスを開始。創業当初よりSalesforce Ventures、SBIインベストメント、三大メガバンク系ファンド、地方銀行系ベンチャーキャピタル、海外大手運用会社から出資を受ける。お金にまつわるもっとも信頼されるプラットフォームの構築を目指す。

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