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世界の富裕層は社債を買っている?海外でしか買えない金融商品
将来に備える

世界の富裕層は社債を買っている?海外でしか買えない金融商品

花輪陽子
2018
06
07

前回のブログ、資産運用のノウハウ「余裕資金を捻出するための節約術」では、資産運用を始めるための資金の準備についてお話しました。投資の準備が整ったら、いよいよ資産運用にトライしたい。できれば、日本で販売しているものだけではなく、世界の投資家が購入する商品も視野に入れてみたい。そんな野望(?)を持つ方のために、今回は金融先進国の金融商品にも目を向けてみたいと思います。

金融先進国にはどんな金融商品があるの?

香港やシンガポールなど金融先進国にはどんな金融商品があるのでしょうか。オフショア投資(金融の税率が著しく低い地域への投資をいいます)の場合も基本的には日本で販売している金融商品と同じで株式、債券、投資信託などが中心です。

ただ、投資信託のラインナップは海外の方が豊富です。USドルなど外国通貨建ての投資信託、ヘッジファンド、プライベート・エクイティファンドなどを取り扱っている金融機関も多いです。

日本のネット証券などで購入できる投資信託は、一般に公募投信といって広く一般に募集されます。ですが、ヘッジファンドやプライベート・エクイティファンドは私募投信といい限られた人のみが出資して運用するファンドのことが一般的です。

ヘッジファンドは様々な取引手法を駆使して、マーケットが上がっても下がっても利益を追求することを目的としたファンドになります。普通の投資信託は、運用方法に制限を設定していて、相場が一方向に動いたときのみ利益が出る仕組みのものが多いのが違いです。

プライベート・エクイティとは、広くは未上場企業の株式を意味します。未上場企業の株式の取得や引受を行う投資行為をプライベート・エクイティ投資と言います。通常はプライベート・エクイティファンドに投資をします。

香港やシンガポールの金融機関では投資信託の他に、外国債券のラインナップが充実しています。日本の金融機関が取り扱う外国債券は、米国債など限られたものだけですが、たとえば、「マイクロソフト」や「アップル」の社債なども取り扱っている金融機関もあります。こうした社債の購入単位は110万円以上のものから1,100万円以上のものもあり必要投資金額が大きくなっています(ただし、金融機関や商品によって異なります)。

富裕層はグローバル企業の社債をポートフォリオに組み入れていることが多いです。社債の場合、会社が倒産しない限りは元本が保証され、利回りが最低でも3%程度は確保できるからです。日本の低金利な預金や国債に比べると、はるかに魅力的です。

なぜ日本の金融機関はこうした投資信託や外国債券の取り扱いが少ないのでしょうか?それは規制とコストの問題からです。一般に、債券や投資信託を購入する場合、投資家は事前に目論見書を確認する必要があります。香港やシンガポールなどは英語圏なので、英語の目論見書があればよいのですが、日本の場合は英語の開示資料を日本語に翻訳する膨大なコストがかかります。

国内と海外、資産運用はどこですべき?

それでは、日本の金融商品や金融機関の良さは何なのでしょうか。個別株やETFに関しては、日本の証券口座を通じて投資しても、現地のオンライン証券の口座から投資しても、それほどの差はありません。オンライン証券によっては取り扱い市場や手数料が異なるなどの小さな差はあります。日本のオンライン証券は優れており、コストも安く、少額からの投信の積立などサービスも良いので日本にいるのなら積極的に利用する価値はあります。また、特定口座に入れれば原則的に確定申告は不要ですし、税金の優遇があるNISAや確定拠出年金制度を活用させることもできます。

ちなみに、香港やシンガポールの税制は日本よりも有利だと言われます。たとえば、株式投資の値上がり益や配当収入には税金がかかりません。とはいえ、海外の金融機関で口座開設し、投資をしても、日本に居住している場合は、日本の税制に従わなければならず、自分で税金の申告をする必要があるので注意が必要です。

日本に住んでいる場合は、基本は日本のオンライン証券などで株式、ETF、個人向け国債などを検討すれば良いでしょう。資産運用に慣れてきて自分が欲しい金融商品がどうしても海外にしかないという場合はオフショア投資を検討しても良いかもしれません。

香港やシンガポールで口座を開くことはできる?

現在、香港やシンガポールの金融機関は、非居住者(日本に住んでいる人も含む)が新規で口座開設をすることを厳しく制限している場合もあります。資産を預けて運用の助言をもらったり、運用を一任したりできるプライベートバンクは、非居住者でも利用できるものの、最低預入額が2億円など(金融機関によっては更に高い)、かなりハードルが高く、一般の人が利用するのは難しくなっています。

それよりは比較的ハードルが低く、日本人にとって狙い目なのが香港にある日系金融機関です。新生銀行などが出資している「Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB)」は日本語でのサービスもあります。口座開設時にはデポジットは必要なく、月1万1,000円程度から投資信託の積立ができます。

シンガポールのシティバンクも日本デスクがあり日本語のサポートを受けることができますが、最低金額が2,200万円程度と最近ハードルが上がりました。

また、海外の金融機関に口座を開くには必要書類を持って金融機関に足を運ぶ必要があります。

これまで述べてきたことを考慮すると、海外に金融口座を所有するのは、日本居住の投資初心者には不向きな面も目立ちます。ただ、日本での資産運用に慣れて次のステージを、と考えている人にとっては面白いでしょう。

筆者プロフィール

花輪陽子

外資系投資銀を経てFPとして独立。著書に『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』、監修本にジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中ロ朝鮮半島の激変から人とお金が向かう先を見抜く』 (講談社+α新書)など。

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