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2018年度税制改正案は?どういうケースで増税に?
制度を知る

2018年度税制改正案は?どういうケースで増税に?

風呂内亜矢
2018
03
22

昨年末に発表された税制改正大綱では、年収850万円以上の会社員に対する増税や、たばこ、海外旅行など生活に密着した増税も含まれています。3月末にかけて閣議決定されていく2018年度税制改正はどのような内容でしょうか。確認していきます。

年収850万円以上は増税、自営業も電子申告をしないと減税にならない

働く人誰もが受けられる”基礎控除”38万円が48万円に引き上げられ、会社員にとっての経費にあたる”給与所得控除”が概ね10万円引き下げられます。課税対象となる所得から控除(差し引き)できる金額が、10万円増える一方で10万円減る部分もあるため、通常税額は変わりません。

一方、概ね10万円増額される給与所得控除については、収入に応じて金額が上がる計算をします。どこまでも金額が上がるのではなく、現行制度では年収1,000万円超の人に対して220万円となる金額が上限となっています。

この上限額が引き下げになります。年収850万円を超える人が受けられる給与所得控除を195万円とし、この金額が上限になります。結果的に年収850万円以上の会社員にとっては増税となります。

例えば、年収860万円の人の場合、現行の給与所得控除は206万円、新制度では195万円となります。21万円控除される額が減ることになりますが、基礎控除は10万円アップしているため、実質は1万円の控除額の減少です。年収860万円・所得税率20%(住民税は所得に関係なく10%)の人の場合、1万円控除される金額が減ることで年間3,000円(1万円×30%)の増税になります。

基礎控除が引き上げられることは、一般的に自営業者などに対しては減税の制度といわれています。ところが、自営業者が利用する青色申告特別控除に対しても少し条件が変わる点には注意が必要です。条件を満たさなければ、青色申告特別控除が65万円から55万円に10万円控除額が減額となり、税額は変わらないことになります。

65万円の控除を変わらず使うためには、e-Taxを使って確定申告を提出するなど、電子申告の環境を整える必要があります。

これらの制度が適用されるのは、2020年以降の所得税や、2021年以降の住民税が対象です。

たばこや海外旅行に対しても増税が

その他にも、たばこ1本あたり3円の増税が予定されています。現在の案のまま決定すれば、2019年10月1日より1本あたり1円ずつの増税が段階的に実施されます。海外旅行については1回あたり一律1,000円の国際観光旅客税(仮称)の創設が予定。2019年1月7日以降の出国が対象になります。比較的近いタイミングで影響がありますね。森林の整備に関する負担を分け合う森林環境税(仮称)は住民税に対して年間1,000円の上乗せ。2024年から課税予定です。

税額に影響があること以外にも、手続きを軽減するための動きもあります。例えば、会社員の場合、年末に勤務先に住宅ローン控除、地震保険料控除、生命保険料控除などの書類を提出し、年末調整を受けている人も多いでしょう。2020年10月1日以降提出分のこれらの書類を、マイナポータルなどインターネット環境を利用して提出できるようになるルールを整備する予定です。

2018年度の税制改正大綱ではありませんが、マイナンバーにまつわるその他の動きとしては、2019年1月より、Androidの対応端末では確定申告の提出までできるようにする予定もあり、税務に関する一元管理化、電子化が一層進むことが予想されます。

2017年度の税制改正で決定した、配偶者控除・配偶者特別控除は、今年から施行がスタートしました。今まで例えば妻の収入が103万円を超えると所得税上の扶養から外れていたものを、150万円まで引き上げたものです。妻がより働けるようになったと同時に、妻が働いていなかったとしても年収1,170万円以上の夫の場合、配偶者控除の金額が引き下げられ実質増税となっています。

2020年以降適用される最新の税制改正案も、高所得者に対する増税が盛り込まれています。通常の世帯でも言えることですが、所得の高い世帯では、一層妻がいくらか働きに出る方向を検討した方が、家計としては有利といえそうです。

筆者プロフィール

風呂内亜矢

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、宅地建物取引士。1978年生まれ。岡山出身。 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです~お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか~』(祥伝社)等がある。

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