『アメリカ人全員が1年に飛行機に乗る回数はトータルすると何回でしょうか?』

いきなりこのような問いに出くわすことは少ないと思いますが、仕事の中ではこれに似たようなもので、ちょっと考えただけだと答えが浮かばないような問題に出くわすことはよくあることだと思います。

たとえば、

  • 自社の主力商品を売るターゲット企業は何社ぐらいあるか
  • ターゲット企業に対してどのぐらいの値付けだったら競合に勝ちつつ利益を出せるか

などです。やってみないとわからないだろうと思ってしまいがちですが、このような一見すると雲をつかむような問いでも仮説を立てることによって、ある程度の正確さで答えを導くことができます。

ここでは、最初に出した問いについて考えてみましょう。

全体を四則演算で分解する

最初の手順は、全体を分解することです。その際に、四則演算で分解してみること、つまり加減乗除を使って分解すると分解がしやすくなります。最初の問いに当てはめると、

アメリカ人が飛行機に乗る回数=アメリカの総人口×一人あたりの搭乗回数

となります。

嘘でもいいので仮の答えを当てはめてみる

分解ができたら、今度はそれぞれの要素に仮の値を入れていきます。ここで大事なのは、『本当かどうか分からなくても、仮置きして先に進むこと』です。本当かどうかわからない状況で迷っていても答えは出ません。目的は答えを出すことですから、思い切って値を入れてみましょう。

アメリカの総人口は日本よりは多く中国より少ないことは感覚的にはわかります。つまり、1億と10億の間ということになります。ここでは間を取って仮に5億としておきましょう。

次に、一人あたりの搭乗回数を考えてみます。ここで、飛行機にのる人たちを大きく2つのグループに分けます。1)頻繁に搭乗する人 2)めったに搭乗しない人 の2つです。頻繁に搭乗する人は月に1回は搭乗しているでしょうから、仮に12回と置きます。めったに搭乗しない人は年に1回乗る程度と置きます。そして、頻繁に搭乗する人と滅多に搭乗しない人の比率は2:8と置きます。この2:8という比率はパレートの法則とも呼ばれ、総売上の8割を上位2割の顧客が稼ぎ出しているなど、世の中一般的に様々なシーンで当てはまるといわれている法則です。

これで仮の値を入れる準備ができました。計算式に当てはめると、以下のようになります。

アメリカ人が飛行機に乗る回数=アメリカの総人口×一人あたりの搭乗回数 =5億人×(12回×0.2+1回×0.8) =5億×3.2 =16億回

かなり荒っぽい仮定ですが、一つの答えを導くことができました。もちろん、変数をもっと細かく分解したり、入る値を変えてみたりするとまた別の答えが導かれると思いますが、答えを導くという目的が達成できることに変わりはありません。

このように、一見すると雲をつかむような問いでも仮説をたてることで前に進み答えを導くことができるのです。ある問いに対して「わかりません」と回答するのと「仮説ですが、こうだと考えます、その根拠は・・・」と答えるのとでは、全く印象が違いますよね。これらは思考の癖づけですから、ちょっとやってみただけではなかなか身につきませんが、1日1つずつでも良いので繰り返すことで少しずつ身についていきます。ぜひ今日からやってみてくださいね。

著者プロフィール
堀江 賢一 1977年生まれ。福岡県育ち。九州大学大学院理学府修了。中小企業診断士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。 大手電機メーカーにてグローバルSCMプロジェクトやインターネットコンテンツ配信システムの販売、事業部改革プロジェクトなどに携わる。システム開発、販売、組織改革と、企業組織活動のあらゆる面を経験。その後コンサルティング企業を経て、現在はインターネット企業で、クラウドの事業戦略やマーケティング戦略の立案と実行に尽力している。戦略と実行計画の立案、プロジェクト推進が得意。 趣味はアカペラとテニス。友人と5人でアカペラユニットを組んでおり、結婚式などで歌を披露している。全日本テニスランキング保持者。

公式サイト:取材の学校