選択肢の多い人生と少ない人生。あなたはどちらを選びますか?多くの方は、選択肢の多い人生を選ぶでしょう。選択肢の少ない方は、選択肢の多い方を見て、うらやましいと思うかもしれません。しかし、選択肢の多い人生のほうが果たして本当に幸せなのでしょうか。

気持ちを固める

ここで一人の男の生き方を見ていきましょう。元WBC世界バンダム級王者・辰吉丈一郎さんは、45歳になっても引退せずに、現役にこだわり、ボクシングを続けています。

「僕の取り柄はボクシングしかない」と常々語っている辰吉さんは、こんなことも言っています。「人生において、好きなことは1つでいいですよ。3つも4つもあったら、それは本当の好きじゃない。結婚したい女が3人もいたら、ウソやんっ、てなるよね」。

選択肢が多いと、こっちがダメならそっち、そっちがダメならあっち、というようにどうしても覚悟を決めきれなくなってしまいます。また、そっちがあるからこっちはダメでいい、あっちがあるからそっちはダメでいい、というようにあきらめやすくなるかもしれません。

さらに、こっちもいいな、そっちもいいな、あっちもいいな、というように、どうしても目移りしてしまいます。選択肢が少ないほうが覚悟を決めやすく、あきらめにくく、目移りしにくいのです。つまり、気持ちを固めて、意思決定しやすいのです。

力を集中して注ぐ

選択肢を絞り込んでから行動すれば、一つのものに、力を全て集中できます。しかし、選択肢を絞らないうちに行動することがあります。この場合、一つのものに100%の力を注ぐことはできません。選択肢ごとに戦略を考えないといけませんから、当然考えることも増えてきます。

しかし、選択肢が一つしかなかったら、それに力を全て集中できます。考え抜くことができるのです。投資などでは「ポートフォリオ」、「リスク分散」という言葉があるように、集中的に投資をするとリスクが高くなるので、一般的には好まれません。しかし、個人が持っている「力」の場合、集中して投入することによって、経験値が上がり、リスクに対応する能力も高まります。力を集中して注ぐほうがリスクを低減することにつながるのです。

また、「力」を分配することは極めて難しいものです。選択肢が一つしかない場合は、力の配分を考える必要はありません。迷う必要もないのです。選択肢が少ないほうが、力が分散することなく、効果的に力を発揮することができます。

以前に取材をさせていただいたとある社長が、こんなことを言っていました。

「限られた制約の中で、何ができるのかをとことん考え抜くことが重要です。選択肢が多いほうが不自由かもしれません」。

選択肢が多くなればなるほど、気持ちを固めたり、力を集中して注ぎ込んだりすることが難しくなります。選択肢が少なければ、その心配は少なくなるのです。これは大きなメリットです。「選択肢が少なくて私は不幸だ」と思い悩んでいるあなた、このように考えてみると、気持ちが楽になりませんか?

著者プロフィール

梅津勝明

中小企業診断士。茨城県取手市のインキュベーションセンター「ワタシの街のレンタルオフィスMatch-hako」の副センター長を務める。主に起業・創業の支援、組織・人事の改善に従事。中小企業診断士として活動する傍ら、ラジオ番組の企画・構成等も手掛ける。

公式サイト:取材の学校