岩田先生の連載第2回目、後編です。後編では、リクルートと決別したセブンイレブンの、新たな施策と展開について迫ります。前編はこちらです。

セブンイレブンのJCB優遇策

セブン-イレブンとJCBはどのようなコラボを行うのでしょうか。具体的にいうと、2つの点で優遇することになります。

ひとつは、セブン-イレブンでJCBのオリジナルシリーズカードを使って買い物をすると、JCBのOki Dokiポイントが通常の3倍つくようになることです。1000円の買い物で1ポイントつくところが3ポイントつくのですから、これはおトクです。

もうひとつは、これまでOki Dokiポイント1ポイントを5nanacoポイントに交換できたのですが、キャンペーン期間中は6nanacoポイントに交換できるようにするのです(このキャンペーンは期間限定でなく常態化する可能性が高いといいます)。

このように、セブン-イレブンおよびnanacoの利用者にとって非常に使い勝手のよいカードとしてJCBカードは位置づけられて、セブンはそれをバックアップしていこうとしています。3月初旬にリクルートカードプラスがnanacoとの関係を見直すという発表をおこないましたが、それを待っていたかのように、セブン-イレブンはJCB優遇の姿勢をはっきりと示したわけですから、リクルートからJCBへの転換を内外に宣言したのも同然です。

セブンイレブン VS ローソン

こうした経過を見ていくとセブン-イレブンの意思というか大きな戦略が読み取れます。この時期にセブン-イレブンがこうした行動に出た背景には、もうひとつの大きな理由があるように思います。その理由とは、共通ポイントでローソンに対抗するためです。

共通ポイントは現在のカード業界のキーワードです。ローソンは、Pontaとdポイントの2つを抱え、ユーザーにとっての利便性を高めています。今後サークルケーサンクスを失った楽天もローソンに加わるという見方もあります。それに対して、セブン-イレブンはnanacoだけです。

JCBとタッグを組んだ意図

nanacoは使える店がセブン-イレブンのグループにほぼ限定されていて、この点で業種を超えてたくさんの店で使えるTポイントやPontaなどの他の共通ポイント、Suica(スイカ)などの電子マネーに比べて見劣りがします。

それを打破するために、国際ブランドのひとつであるJCBの助けを借りて彼らがもつ国内の幅広いネットワークを活用して、ポイントをためて、それを有利にnanacoポイントと交換して、セブン-イレブンで使ってもらおうという戦法を編み出したのです。

セブン-イレブンとJCBにすれば、セブン-イレブンという日本一のコンビニの力と日本発の国際ブランドJCBの力とを合わせれば、他のコンビニ・ポイント陣営を十分に凌げるとみているのでしょう。いよいよ、ポイント戦争の雌雄を決する戦いがこれから始まろうとしています。一瞬たりとも目の離せない状況になってきました。

セブンイレブン以外でも使えるnanaco

ここでひとつnanacoの知られざる一面を紹介しておきましょう。nanacoはグループ内のポイントカードとみられがちですが、じつはすでに全国区で展開する共通ポイント的な動きもみせています。最近はビックカメラでためて使えるようになりましたし、価格破壊の酒類問屋のカクヤスでも使えます。まだ数は少ないですが、全国の街の居酒屋やクリーニング店などの一般商店でも使うことができます。

このnanaco加盟店は、すべてはホームページに記載されています。昨年、セブン-イレブンはスタバと共に未進出だった鳥取県に初めて出店しましたが、じつはセブン-イレブンが出てくる前からnanacoが使える店が結構あったのです。一昨年に私は講演で米子市に行った時に、偶然駅前の居酒屋でセブン-イレブンがないにもかかわらずnanacoが使えたのでびっくりした経験があります。

今考えるとセブン-イレブンが出店するための準備だったようです。セブン-イレブンはJR西日本と提携しており、米子駅の構内にキオスクとして、まず出店しました。それと同時に米子市内にも3店舗出店しています。輸送に鉄道が使えることが駅に出店するきっかけになったといわれています。もちろん輸送にはトラックも使っており、広島に中四国の拠点があることも米子に出店が集中した理由かもしれません。

nanacoの共通ポイント化

これからJCBカードでためたポイントをnanacoに交換して使う消費者がどんどん増えてくれば、結果としてnanacoが共通ポイントに近づくということになります。「がんばれnanaco!」とエールを送っておきましょう。

前編はこちらです。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

ウェブサイト:上級カード道場