昨年後半からニュースでよく耳にするようになった「軽減税率」の導入。軽減というワードを聞くと、何らかの恩恵を受けられるのではないかと思うかもしれませんが、実際はどういうことが行われようとしているのでしょうか。

その内容は、2017年4月1日に消費税増税が行われ、消費税率が現行の8%から10%に引き上げられ、その中で、一部の生活に関連する品目については現行の8%に据え置かれる予定です。軽減税率が適用される品目について、消費者側はもちろんですが、事業者側も内容を把握しておく必要があります。事業者側にとって、納税義務に関わる問題でもあるからです。軽減税率が適用される前に、制度を正しく理解しておきましょう。

軽減税率が適用される対象品目は?

消費税の軽減税率の対象品目は、2016年4月現在の予定では、「生鮮食品」、「加工食品」、「新聞」です。生鮮食品、加工食品については酒類と外食を除いた飲食料品のことを示し、新聞については、定期購読の契約をした、週2回以上発行されるものが対象になります。

加工食品については同じ品目であるにも関わらず、外食か持ち帰りかで税率が変わってしまいます。外食の定義は、「テーブルや椅子など、その場で飲食させる設備を設置した場所で行う食事の提供」となっています。その線引きはかなり煩雑です。

例えば、持ち帰り、テイクアウト、出前、宅配、お土産は軽減税率の対象となりますが、コンビニで返却が必要な食器を用いた飲食料品、ケータリングや出張料理は軽減税率対象外となります。最近はコンビニでのイートインコーナーが増えてきているので、注意する必要があります。

同じ商品でも場合によって別会計が必要となりますので、その対応が複雑になることが予想されます。

軽減税率のメリット・デメリットって?

そもそも軽減税率はなぜ導入されることになったのでしょうか。

最大のメリットは、低所得者の家計負担を減らすというところにあるのです。消費税は所得の多寡に関わらず、物品を購入した場合などにすべての人が同じ税額を負担する税です。そうした場合、低所得者ほど、支出に占める食料品など生活必需品の割合が高くなってしまいます。生活必需品に対して軽減税率を用いることで、その税負担は緩和されることになります。 ただし、高所得者も当然同じ適用となります。

そして、デメリットとなってしまう事業者側の留意点です。先述したとおり、事務手続きが煩雑になります。レジなどシステムを変更する必要が出てくるでしょう。特に、スーパーやコンビニでは、食料品以外にも扱っている商品が多岐にわたっているため、その管理などの事務作業が増えることになるでしょう。設備やシステムの変更は前もって準備していないと、すぐには対応できません。早め早めの準備をしていきたいですね。

約1年後に迫ってきた消費税増税ですが、まだまだ議論されていますので、その動向を注視していきましょう。

著者プロフィール

村田朗

公認会計士、中小企業診断士、販売士1級、登録政治資金監査人。1986年大阪府大阪市出身、東京都港区在住。大阪市立大学経済学部卒業後、大手監査法人に入所。上場企業の監査を中心に、製造業、小売業、医薬品業、金融業、学校法人などの監査業務に従事。「継続は力なり」をモットーに、会計・税務・資金調達の面からコツコツ努力する経営者の方をサポートできるよう活動中!

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