逆風にさらされる楽天

Part 3では、ネットからリアルに出た楽天の苦難についてお話ししました。 このような状況ですから、楽天ポイントは逆風にさらされているといえるでしょう。 悪い方向に風向きが変わったのは2012年7月に電子書籍リーダーのKobo(コボ)の取り扱いを始めたころです。

コボの評判が芳しくないのに痺れを切らして、三木谷会長兼社長が現場に直接出向いて、コボがいかに素晴らしいかを力説したところ、かえって現場の人間が委縮してしまったそうです。

それまで、三木谷社長が現場に出向いてあれこれ商品の内容を説明することはなかったために、余計なプレッシャーを与えてしまったのかもしれません。

もうひとつ、三木谷社長は楽天市場のウェブデザインがよくないといって替えさせているのですが、これも逆効果を与えているようで、デザインを替えた成果はほとんどありませんでした。

これまでは良くも悪くもミセス・ミキタニの主婦目線で、それぞれの現場担当者が、緩い管理の中、独自性をだしていたのですが、オーナーが直接指導すると現場は緊張することになり、ギクシャクしだしたということです。

相次ぐ海外拠点の閉鎖

そして、今年に入ってからアジアやヨーロッパの楽天の海外の拠点が次々と閉鎖しています。インドネシアやマレーシアなどの東南アジアからは完全に撤退し、ヨーロッパではドイツとフランスに集約しています。

その結果、一時は10カ国以上に進出していましたが、今ではアメリカ、台湾など半分くらいになっています。楽天は日本で成功したやり方で、世界に覇を唱えようと、社内でも英語を公用語にしようとしてきました。

しかし、ECサイトの買収で躓くことが多くて業績は思ったようには上がりませんでした。それに同じECといっても各国それぞれの事情があって、その対応にてこずりました。

こうした見込み違いもあって、楽天は世界市場からの撤退に追い込まれたのでした。このように目玉だった海外展開も今のところ不調で、展望が開けていません。リアルにでてからというもの、あまりよいことがないのです。

楽天カードだけは好調な伸びを見せる

そんな中で好調なのが、♪楽天カードマン~でおなじみのクレジットカード、楽天カードです。発行枚数は1200万枚を超え順調に増えています。

楽天カードの穂坂雅之社長はオリックスの出身で、楽天本体の副会長も務めています。どんどん出世して今や三木谷社長に次ぐナンバーツーです。オリックスのかつての同僚はみんな驚いています。

その楽天カードはクレジット機能のほかに楽天ポイントカード、電子マネーの楽天エディなどを一体化させたものをメインに据えて、さらに会員を増やそうとしています。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

ウェブサイト:上級カード道場