起業と聞いてみなさんはどんな印象を持ちますか?「自分のやりたいことをやる」、「夢をかなえる」、「今よりお金を稼ぐ」などなど、華やかなイメージがある一方で、「失敗したら取り返しがつかない」、「借金地獄」などのマイナスなイメージが浮かんでくる方もいらっしゃることでしょう。

自分の夢や、やりたいことがあるのに、起業に二の足を踏んでいる方も、おそらくたくさんいるのではないでしょうか。しかし、見方を変えれば、このマイナスさえ払拭することができれば、起業をすることはさして難しいことではない、ともいえるんですよ。

多くの起業家の方々へインタビューで、私は起業する人の考えていることや起業に必要なことなどをうかがってきました。そこから起業するために必要なただひとつのことがわかってきたのです。それは、『覚悟を決めること』、実はこれだけなんです。

最低限の生活レベルに必要な費用を明らかにする

覚悟を決めるための一つ目の要素。まずはマイナスの払拭からはじめましょう。それは「お金」に関する負のイメージの払拭です。実はこれが覚悟を決めるための大部分だと言っても過言ではありません。「やりたいことがあるけど、失敗した時に生活がどうなるか・・・」。こういう声をよく聞きます。

もちろん、失敗したときの金銭的損失は大きいでしょう。しかし、仮に失敗したとしても、「自分なりの最低限の生活レベル」を保つことができるようにしておけば、不安は解消できるんです。

2004年にJASDAQに株式を公開したオプトホールディングス社長の鉢嶺登さんはインタビューの中でこうおっしゃっています。『最初からうまくいくとは思っていなかったので、収入がないことを前提に節約するよう、心がけました。例えば、近場の営業は自転車を利用したり、1階に応接スペースのついた家賃8万円のワンルームを事務所にして、無料で接客スペースを確保したりと工夫しました』。

では、最低限の生活ラインとはどのようなものなのでしょう。それは人それぞれですが、例えば独身の方であれば、「風呂無し、トイレ共同。都心まで電車で1時間程度の、六畳一間の自炊暮らし」であれば、家賃と水道光熱費で50,000円前後、食費は1日700円として21,000円、その他雑費でプラス20,000円。合計91,000円。

これだけ稼げれば、最低限の生活は成り立ちます。これは極端な例ですので、もう少し生活水準を上げるならば、上げたなりの金額を費用として見込んでおけばよいのです。この時にポイントになるのは、小さくても良いので毎月何らかの収入が入る事業を、1つか2つもっておくことです。

これによって、収入の安定性が確保できるので、最低限の生活を自分自身で保証することができます。どうでしょう?少しはマイナスイメージが払拭出来たのではないでしょうか?

自分自身の挑戦を最大限評価する

生活レベルの面で覚悟が決まったとして、それだけで十分という方もいれば、そうでもない方もいるでしょう。失敗した時の周りの目や評価が気になって足を踏み出せなくなることは、十分に理解できます。その時は、「自分自身の挑戦を評価」してあげてください。ご自身がやりたいこと、夢に向かって一歩踏み出したこと。それ自体が、大変価値のあることなんです。

ある講演で有名なコンサルタントの方が、「この講演を聴いて、実際に私の言ったことをやってみる人は10人に1人。そしてそれをやり続ける人は100人に1人もいないでしょう」とおっしゃっていました。講演を聴いてそれを実践し続ける人が100人に1人もいないのであれば、もっと難易度の高い起業に踏み込む人は1,000人に1人もいないことでしょう。そのぐらい、起業に踏み切ることは他の人がやっていないことであり、それ自体大変価値のあるものなんです。

起業をするときに必要な覚悟。それは、最低限の生活レベルを決めることと、自分の挑戦を最大限評価すること。これらによって決めることができます。もし起業で迷っている方は、この2点について、考えてみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール

堀江賢一

大学院卒業後、大手電機メーカーに入社。SE・営業を行う傍ら、事業部改革プロジェクトリーダーを務め、事業ドメイン策定~業務改革に従事。その後、コンサルティング会社にて組織改革コンサルタントとして、教育的アプローチで企業組織変革に携わる。現在はインターネット企業でクラウドに関する戦略立案を行う傍ら、中小企業へのコンサルティングも行っている。中小企業診断士、AFP。

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