岩田先生の連載第5回目、Part2です。イオンが6月から開始するWAON POINT、その目的や、今後の戦略について迫ります。

2年後に「ポイント発行額」1000億円を目指す

イオングループでは、これまで57種類ものカードを発行しており、延べ会員数は1億人に達するといいます。そのカードの「ポイント発行額」は現在、約500億円です。イオンではこのカードを順次統合していく予定で、最終的にはWAON POINTサービスにすべて統一する考えです。

そして、2年後の2018年には現在の「ポイント発行額」を1000億円に倍増させ、会員数を6000万人にする計画です。

まずグループ内での浸透を図る

先ほど述べたように、イオンには電子マネーのWAONで貯まる「WAONポイント」やクレジットカードのイオンカードで貯まる「ときめきポイント」があったのですが、さらに共通ポイントのWAON POINTをつくったわけです。

そう考えると、屋上屋を重ねる、という印象もなくはないのですが、イオンの狙いは、WAON POINTによって電子マネーのWAONとクレジットカードのイオンカードを横串で刺して、グループ内の連携・結束を強化したい、ということではないかと思います。その点は、JREPOINTと似ています。外に打って出るというよりは、まず、イオン、マックスバリュ、イオンモールなどの内部を固めるという戦略ではないでしょうか。

グループ内だけでも膨大な顧客を抱えており、その内部をしっかり固めることができれば相乗効果は大きく、外に出ていくのも比較的容易なはずです。イオンにはすでにその実績があります。たとえば、コンビニのファミリーマートやローソン、さらには外食大手の吉野家やマクドナルドでもWAONを使えるようになっています。

ちなみに、WAON POINTカードは磁気カードのため非常に安くつくることができますから、大量につくってばらまくことで、まずは消費者に新しい共通ポイントが誕生したことを知ってもらうことに全力をあげると思います。

Tポイントにとって手ごわい相手?

WAON POINTを考えるうえで重要なことは、イオンが、自分たちのグループ内だけで共通ポイントを普及させたいと考えているのではなく、TポイントやPonta、さらにはdポイント、楽天ポイントとも提携する(可能性がある)といっていることです。ドコモのdポイントはPontaと提携しましたが、それと同様のことをするといっているわけです。

一業種一社とかこだわらないというか、これまでとは次元が違った考え方をしています。ですから、組めるところとはどんどん組んでいくというわけです。もし本当にそうなら、Tポイントにとっては煙たい存在、あるいは手強い存在になるかもしれません。

先ほどあげた会員数などの数字を見てもわかるように、グループ内だけでもかなりの顧客をとれるだろうし、それからグループの外に出ていくこともすでにいくつか実績をあげているので、そちらも期待できます。

最後にもう一つの重要な点をあげておくと、この新しい共通ポイントの登場で、ライバルのセブン&アイとの戦いを有利に進めることができるのではないかということです。経営トップの交代でカード戦略が揺らいでいるセブンに、今こそ差をつけるチャンスが訪れたといえるのはないでしょうか。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

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