副業を解禁する企業が増え、最近では副業に関する様々な情報を目にするようになりました。その種類も年々多様化しており、近ごろではクラウドソーシングを利用しての仕事のマッチングが浸透するなど、インターネットを介した副業が増加してきています。一方で、本業や特技を生かし、自分の時間をもう一つの仕事に充てる人も。

では、副収入のある人は、お金をどのように管理しているのでしょうか。今回は、スキルを活かした副業を行うSさんのお金の管理事例についてご紹介しましょう。

普段から副収入の管理をしておくべき理由とは?

本業が会社勤めで他に仕事を持たない人の場合、給与や税金に関するお金周りのことは、ほとんど会社に任せることができます。しかし、副業をして会社の給与以外からも収入があるという場合、自分でしっかりと収支を把握し、お金を管理しておかなければなりません。

その主な理由としては、「確定申告」です。給与以外の収入が一定額を超えると、決められた時期に所定の方法で確定申告を行い、納税する必要があるからです。確定申告を行うには、書類を作成して提出しますが、その際には1年間の売り上げや経費から利益を算出して正確に申告しなければなりません。そんな時、普段から副業の収入や経費を把握していないと、確定申告時期に大変な思いをすることも。「大した収入にはなっていないから」と思っていても、後から予想以上に売り上げが伸びることがあるかもしれません。いざ確定申告が必要となってから、さかのぼって売り上げや経費を確認するのは面倒です。そのため、副収入の収支はきちんと把握、管理しておくようにしましょう。

では、どのような方法で管理するのが良いのでしょうか。エクセルで表を自作し管理する、会計ソフトを利用するといった方法もありますが、より手軽にできるのは「家計簿アプリ」を活用することです。スマートフォンやタブレットからアプリをダウンロードするだけですぐに入力を始められるため、手間や負担を軽減できるはずです。次に、実際に家計簿アプリで収支の管理を始めたSさんの事例を見ていきましょう。

副収入があるSさんの1ヶ月の収支

Sさんは、美容関連の会社に勤める32歳の女性です。1年ほど前に10年以上勤めた職場を退職し、現在は新たな仕事に就いています。以前の会社に比べると、仕事の負担は断然減り、帰宅時間も早くなったことで自分の時間を持てるようになりました。激務によるストレスが減ったことで気持ちの余裕も生まれたそうです。また、以前の職場では習得できなかった新しい技術を教えてもらうことで、今後のキャリアに役立つスキルも身に着けることができたのは大きな収穫でした。

ただし、収入が以前の職場よりも減ってしまったことは、新たな悩みの種となっているそうです。給与は基本的には時給換算で支払われ、Sさん自身のスキルに応じて加算される歩合はまだ充分に支払われているとは言えない状況のようです。研修期間と言える1年目を終えようとしている現在、今後は歩合による給与が増えることを期待しています。

そんなSさんは、前職で培った美容のスキルを活かし、休日の空き時間に副業を行っています。責任感が強く周囲からの信頼が厚いSさんには、転職後も以前の職場で担当した顧客からの依頼が相次ぎました。技術力も高く、「会社を辞めてしまってもSさんにお願いしたい」といった声に応える形で、Sさんは副業として一部の顧客を引き継ぐことにしたそうです。

とは言え、副業の規模は小さく、現状では確定申告も必要ない程度の売り上げです。そのため、Sさん自身も副業の売り上げや経費を管理するほどではないと感じていました。しかし、先述の通り、いずれ売り上げが伸びて申告の義務が生じることもあります。また、収支を視覚化させ分析することで、これまで手付かずだった家計の改善点が見えてくることも期待できました。そこで、Sさんに家計簿アプリ「Moneytree」の使用を始めてもらいました。まずは、ありのままの収支を確認するため、いつもと同じようにお金を使い、家計簿に入力してもらうことにしました。

<Sさんのプロフィールとある1ヶ月の収支>
・Sさん(32歳):美容関連会社勤務、実家暮らし

1ヶ月の給与:173,792円
1ヶ月の副収入:9,000円
1ヶ月の総収入:182,792円

1ヶ月の支出の概要

それでは、家計簿アプリを付けてわかったSさんの家計のポイントを見ていきましょう。

  • 実家暮らしのため、2万円を家賃として家に入れている
  • 社会保険料が会社から天引きされないため、国民健康保険料と国民年金保険料は給与の中から支払っている
  • 毎日のランチは、弁当を持参する場合もあれば総菜を買い足したり、時には外食に出たりすることもある
  • 旅行が趣味で毎月10,000円を積み立てている
  • 貯金は毎月余ったお金を貯めている

実家暮らしであるため、生活自体にかかるコストはあまり高くないSさんの家計。しかし、収入が減ってしまったことで、使うお金は以前と比べて少なくなったものの、貯金がうまくできない悩みがあるようです。また、副業にかかる経費があまりないことから、日用雑貨費や美容費として処理してしまっていることもわかりました。将来に向けての備えにも不安があるということ。副収入の管理、計画的な貯蓄のほか、今後の備えが家計改善のポイントとなりそうです。

家計簿で見えてきた家計の改善ポイント

副収入やそれにかかる経費を把握してもらう意味も込めてSさんに始めてもらった家計簿アプリですが、今後のライフプランを見据えた上での改善点がいくつも見つかりました。これからどのようなことにお金がかかり、何のために貯蓄すれば良いのか。そこから逆算していくことで、お金の使い方や貯め方が変わり、また、そのためには収入がどのくらい増えていれば理想的なのかを把握することができます。そうすれば、本業のキャリアアップの目安となるほか、副業の量を調整してより収入を増やしていくことも可能になるでしょう。それでは、Sさんの家計は具体的にはどのような点を改善すれば良いのでしょうか。

<先取り貯蓄で毎月計画的にお金を貯める>
毎月、余ったお金をほぼ必ず貯金に回せているSさん。しかし、急な出費で使ってしまうこともあり、なかなかお金が貯まらない状況だと言います。貯蓄は生活費を使った後から貯めようとすると、思うように貯められません。また、生活費口座に余らせていくと、つい使ってしまいます。貯金は先取り貯蓄を基本とし、給与が振り込まれたら、貯蓄分を強制的に別口座に振り分ける「自動積立定期預金」などの仕組みを取り入れてみましょう。

<確定拠出年金など少額ずつでも将来への蓄えを>
前職の時から厚生年金への加入歴がなく、国民年金のみに加入しているSさん。老後のことを考えると、少額ずつでも自分で積立しておくことが賢明と言えます。たとえば、個人型の確定拠出年金は、月5,000円から始めることができます。自分で商品を選んで運用する必要はありますが、節税効果に優れ、老後資金作りとしておすすめの方法です。

<手元に充分な現金がない場合は最低限の医療保険で備える>
保険に加入していないSさんは、医療保障や死亡保障を何も備えていないことで、不安を感じていると言います。基本的に、扶養する家族がいない場合は死亡保障はいりませんが、いざという時の現金が充分にない場合は、最低限の医療保険で備えておきましょう。

<突然の出費に備える予備費を準備>
不定期に発生する大きめの出費には、「予備費」で備えておきましょう。ボーナスが支給される場合はその一部や毎月の給与から一定額を捻出します。現状でボーナスが支給されないSさんの場合、毎月の給与や副収入から蓄えておくと、いざという時貯金を切り崩さずに済みます。

<副収入増に備えて経費を別途把握する>
今後、副収入が増え、それに伴い経費が増加する可能性もあります。その場合に備え、経費を別途把握するようにしましょう。「Moneytree」アプリでは、支出を法人設定で入力することで、「経費精算」を管理することができます。これなら、本業の収入や生活費とは別に、簡単に経費を把握することができます。

将来を見据えた有意義なお金の使い方が実現

これらの改善点を踏まえ、Sさんにさらに1ヶ月収支を管理してもらいました。

<改善後のSさんの1ヶ月の収支>
1ヶ月の給与:214,483円
1ヶ月の副収入:18,000円
1ヶ月の総収入:232,483円

改善後のSさんの1ヶ月の家計

はじめの1ヶ月目の改善ポイントから、老後に備えた確定拠出年金と医療保険の加入を決定したSさん(口座開設、加入手続き中。申込済として計算)。また、先取り貯蓄も始めることにしました。給与は時給+歩合で支払われ、また、副収入は仕事の回数によって変動するため2ヶ月目は給与、副収入ともに多くなっていますが、収入が少ない月もあることを考え、無理のない金額設定にしています。予備費も取り分け、今回のように多めに生活費が余る場合は、予備費に多めに回しても良いでしょう。

また、これまでは美容費や日用雑貨費と混合していた副業の経費も、別途管理。今後、副収入が多くなることも見込めるため、経費も含めた把握が大切です。なお、家計簿をつけ始めたことで、食費の節約を意識するようにもなりました。弁当持参の日を意識して増やすことで、食費の削減につながっています。

新たな職場に就職し、同時に副業も始めたSさん。お金の流れを見えるように管理することで、収支のバランスのほか必要となる備えや蓄えを認識し、それにより今後のライフプランを意識できるようになりました。また、あやふやだった副収入や経費の管理を始めたことで、副業の売り上げ増を考えるようになる変化も。それとともに、本業のほうでも歩合の給与アップを目指すなど、目標ができました。「複業」と言えるほどの副収入にはなっていないSさんですが、家計や資産を見渡すことで、これからのキャリアを見つめ直すきっかけになりました。「副収入があるけれど、きちんと管理していない」という人は、「Moneytree」アプリで手軽に記録を始めてみてはいかがでしょうか。


執筆者:武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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