近頃、大手企業による労働時間の問題が大きく取り上げられるようになってきました。マスコミで取り上げられるような社員が過労で自殺に追い込まれるようなケースまでも起きてしまいました。ただ、単純に労働時間の問題だけではなく、上司とのコミュニケーション等複雑な問題が絡み合っている場合が多いので残業時間が長いという理由だけではありません。ただし、少なくとも全国の企業は残業時間の削減の方向に向かっていっています。

2月24日には、政府と経団連が動いていた、月末の金曜日に15時に退社する「プレミアムフライデー」が実施されたことも記憶に新しいですよね。定時刻で会社なんか帰れないという意見や結局仕事を家に持ち帰るだけ、という否定的な意見も多く聞かれますが大手企業を中心として残業削減し定時での退社が既に始まりつつあります。

「会社を定時に帰って何をしよう?」

夕方以降の自由な時間が急に出来た際、どのように過ごそうか悩まれる方も多いかと思います。そこで前半では定時後に自己啓発に取り組むケースを紹介します。後半では複数の仕事を行っている人、いわゆる複業をテーマにフォーカスをしてみようと思います。定時後の過ごし方の選択肢としてこのような生き方もある、という参考にして頂けたら幸いです。

定時後は資格の取得や学びたい事に注力

定時後に家族と過ごす時間を増やしたい、という方も多いかと思いますが、今回は出来た時間で自己啓発や資格取得を目指すパターンを紹介します。私自身もそうでしたが、特に大きい企業に所属していると、組織がしっかりしていると思います。与えられた業務をこなす日々に疑問を感じる事はないでしょうか。

ある程度時間の余裕が生まれると、現状の生活に疑問を感じるようになる事があります。私の場合ですが元々経営に興味があったので、ビジネス関連の書籍を毎日読むようになっていました。会社が終了してからセミナーやビジネススクールに通うようになった友人もいます。しかし、ビジネススクールに通う金銭的な余裕が無かったので、ビジネス関連の資格を取得したいと思うようになっていました。将来、自分自身で起業する等ではなくどこの会社でも「経営」という分野は存在しているので、どこにでも通用するスキルを身に着けたいと思った事が理由です。私の場合は経営関連の資格取得を狙いましたが、カウンセラー系の人に関連する資格やカラーコディネーターなど今の仕事に直結する資格を目指している方も多数いました。それぞれ狙っていた資格は違いましたが、「自分が興味をもっている分野でさらに自身を成長させたい」という想いは共通でした。

取り組んではみたけど続かない時の対処法

「今まで働いていた時間(残業)が急に空いてしまったら何をしたいですか?」したい事はいっぱいあるけどなかなか実行に移せない人も多いかと思います。私もそのパターンの人間でした。また、実行してみたけど長く続かなかったという人も多いかと思います。

私が実践した目標から実行への落とし込み手順を書きに記載しておきます。

【目標から実行への落とし込み】 1. 何をしてみたいかリストアップ 2. 1年間で達成できる目標を設定 3. 月ベースにある程度の進捗目標を”ざっくり”設定 4. 日々の目標を設定 5. 日々の実績を記録して目標との比較を実行 6. 日々の計画を修正

__【当時使っていた実際の日々実行プラン】 __BlogImage20170428

ぼんやりとゴールだけを設定し何となく日々を過ごしていると学習が続かなくなります。上記手順を参考にしてもらい、目標から日々の生活を具体的に想定し「○時間ならここで勉強できる」という形で落とし込むと実現性ある実行プランが作成できると思います。更に日々実績をフィードバックする事で学習が継続できるようになります。スケジュールを見えるように工夫する事も重要です。今後残業時間が少なくなり、空いた時間の活用方法が重要になってくるはずです。

自分のスキルを活かして「複業」を

続いて、所属している会社とは違う複数の仕事を掛け持ちしている「複業」の事例を紹介させてもらいます。“副”業と異なり“複”業は誰でも出来るアルバイトのようなお小遣い稼ぎでは無く、自分のスキルを活かして2つ目、3つ目の仕事を実践している方々です。日本では終身雇用がベースで労働の仕組みが出来上がっている為、複業に対して仕組みがまだ追い付いていない事も多々あります。また、会社によっては規則により外での労働を禁止している会社も多く存在しています。しかし徐々にではありますが、複業に関して理解が広まりつつあります。

趣味のカメラをもう一つのお仕事に

大手小売業界の都内店舗を任されている川尻さん。日々の商品の仕入れや棚卸、アルバイトのシフトや採用など含めた人材のマネジメントなどを行っています。もちろん店舗のリーダーですので自身も接客を行っています。もちろん小売店ですので店舗によって勤務体系は異なってくると思いますが、年々残業に関する会社の考え方が変わり、今では残業はほとんど無く17時前に帰宅できる事もあるそうです。

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店舗のリーダーとして日々責任ある生活を送っている川尻さんですが、カメラが趣味です。料理を美味しく撮影する方法、モノを綺麗に見せる技術などスキルアップはかかしません。さらにモデルを依頼して人物撮影するなど、趣味とは言え本格的な撮影の活動をしています。

「実は写真を撮るという需要自体はかなり多い」と言います。個人的な名刺を持っていて名刺に写真を入れたいという人、Facebook等のSNSにてプロフィール写真として使いたい人、ブログに写真を載せたい人は年々増加傾向にあります。写真専門店で本格的に撮影すると数万円の費用がかかってしまいます。しかし、大抵の場合お見合い写真のように細部までこだわった綺麗な写真である必要はありません。とは言っても、スマホのカメラ機能やコンパクトカメラで撮影したプロフィール写真では少し物足りなさを感じてしまいます。その中間である「気軽に撮れて、少しだけ上質な写真」に対して需要がありました。

まだ本格的に事業としては開始していませんが、Facebook用のプロフィール写真の撮影会を募集して実施したり、取材時に同行して撮影する仕事を始めています。特にスタジオなど構えなくても、最低限カメラ1台あれば始められる仕事です。今後はカメラのスキルを更に高めつつ、「少しだけ上質な写真」を自身のテーマとして活動の幅を広げていきたいそうです。

どこでも出来る執筆をもう1つの仕事に

吉岡さんは大手メーカーで経理の仕事をしています。社員の主張旅費精算や経費処理はもちろんの事、メーカーなので工場の棚卸や資産管理等を行っています。元々残業に対して厳しい会社だったらしく、近年話題に上るような前から残業に対する取組を行っていました。棚卸を実施する毎月月末は夜遅くまで経理の方が残っているメーカーも多いかと思いますが、吉岡さんの会社では製造現場の人が日々の棚卸を行っているため、月末も特に時間がかからないようです。

そんな吉岡さんですが会社定時後の複業として執筆を中心に活動しています。当初は自身のブログから始まったそうです。自身が得意とする会計処理や好きな化粧品の記事をブログにアップしていた所、徐々にブログへのアクセス数が上がって来たそうです。そこからアフィリエイトと呼ばれる広告収入の仕組みを取り入れました。

ブログから次第に執筆に対する想いが強くなり、インターネットで回覧した先で「ライター募集」のページを見つけてはいくつも応募したそうです。執筆して初めの頃は単価も安く時給に換算するとコンビニのアルバイトの方が良かった程ですが、徐々にコンテンツの内容の良さが伝わり、今では指名で仕事が来るようになったそうです。

執筆の良さはどこでも仕事が出来る事です。会社を定時に帰ってから家で記事を書いてもいいですが、吉岡さんの場合はお気に入りのカフェで夕日が落ちるのを眺めながら執筆するのがストレス解消にもなっているそうです。

複業を改めて考えてみる

今回はお二人しか紹介できませんでしたが、会社を帰宅した後空いている時間や休日で全く別の仕事(事業として成り立っているかは別にして)を実施している人達は着実に増えてきています。最近、大手企業の代表レベルの方からも「早く帰って、勉強会にいったり、友達に会ったり、家族と過ごしたりした方がクリエイティブさが生まれ、会社の業績にも結果的につながる」という事を聞くようになりました。 今後は働き方改革が進みます。定時で帰って残業代が減ってしまう、というようなマイナスの思考ではなく、今まで出来なかった事にチャレンジできるようになります。働き方だけではなく、思考そのものを見つめ直す良い機会ではないでしょうか。

記事を読んで頂いた方が今後の“じぶん働き方改革”の役に立って頂ければ幸いです。


執筆者:取材の学校 ライター 島袋 智輝

1980年東京都江戸川区出身、神奈川県在住。中小企業診断士。大手日用品メーカーの化粧品技術者として入社。約10年技術者として携わってきた中で、もっと経営に関わりたいと感じ始め2015年に中小企業診断士を取得。「経営者の右腕」をテーマとして中小企業の社長のサポートを行っている。コンサルティングの専門はビューティケア業界や製造業であるが、ライターとして執筆、大学で講演と幅広く活動している。