「働き方改善」「ワークライフバランス」「生産性の向上」最近は、働くことについて、いろいろなキーワードが取り上げられていますが、今回は、働くうえでの「気持ちの持ち方」「立ち振る舞い方」に注目してみたいと思います。

みなさんは、「レジリエンス」という言葉をご存知でしょうか。NHKの番組でも取り上げられたりするようになり、再度注目があつまっています。元々は物理学から発生した単語のようですが、心理学用語として昔から認知されている言葉です。

とは言っても一般的には余りなじみがない用語だと思います。この聞きなれない「レジリエンス」という言葉を少し追っていきたいと思います。

レジリエンスの意味は「緩やかな結合」とか「外力による歪み」「柔軟性」など、要するに折れない心という意味で使われています。大きな外的要因により強いストレスを受けた際に、真正面から受け止められる人もいれば、受け止められずに潰れてしまう人もいます。

このレジリエンスという考え方は個人、社内の人間関係、あるいは会社経営にも応用できる概念ですので具体例を交えながら紹介していきます。

折れない心とは?

真面目な社員ほど、うつ症状になりやすいという話を聞いた事がありませんか?これはすべての責任は自分にあると受け止め、結果が思うように出せず、抱え込んでしまうケースからだと考えられます。また、重要なプレゼンや企画会議を控え逃げたくなる衝動に駆られる人もいると思います。

実際にあった話を紹介します。

Aさんは、とある機械メーカーに入社して約10年の社員で、現在は購買を担当しています。中小企業ですので購買とは言っても専属ではなく、営業も総務もやります。入社当初は新入社員として言われる仕事を日々こなしていました。

しかし、数年経過した頃から変化が起きてきました。Aさんは言われる仕事は行うのですが、新しい事にチャレンジしようとせず与えられた仕事のみやろうとしました。上司がこの状況を見かねて、Aさんに小さなプロジェクの企画提案を行うようにプレゼンの機会を与えました。企画会議が迫る中、「プレゼン資料は出来たのか?」と進捗を聞いても、Aさんはうやむやな返事しかしません。

結局、企画会議当日は体調不良を理由に休みを取ってしまいました。つまり、与えられたプレゼンから逃げてしまったのです。  

レジリエンス性の育て方

窮地に陥るようなトラブルが発生した場合は誰でも落ち込んでしまいます。思い出したくもない人生であった嫌な事。Aさんのように強いストレスは多くの方が経験されている事かと思います。

しかし、起きてしまった事は、もうどうする事も出来ない事象ですので、自分の心の借金(マイナス)とします。この借金を返せないと頭を抱え込んでしまう人と借金を元手にして次の行動に移せる人で差が出てきます。

レジリエンス性の高い人、つまり「借金を元手と考えて次の行動に移せる人」は何事に対しても目標やビジョンをしっかりと持っています。さらに、このような人達には共通する特徴がみられます。

  1. 決して自分一人で突き進まない
  2. 周りの人間を巻き込む人に頼り、人から頼られている 

何か心理的な強いストレスが発生した際に目標やビジョンを持っていれば紐が多少揺れる事はあっても切れる事はありません。綱渡りの綱をイメージするとわかりやすいかもしれませんね。

逆にゴールの結び目が弱かったり、ゴールが動いてしまったりすると綱渡りの綱はあっという間に切れてしまいます。この綱が切れる=心が折れてしまうという意味にだと思います。さらに、人に頼る事でストレスを受けた際の紐の揺れ幅を小さくする事ができます。

知らず知らずのうちに友人に愚痴をこぼしてしまっているのは、ストレスを受けて大きく揺れている紐の振れ幅を小さくしています。「自分は愚痴を言ってしまって嫌な人間だな」と余計なストレスを感じてしまう人は、「愚痴ではなく紐の揺れ幅を小さくしているんだ!」と意識すると、自身が感じるストレスが小さくなるかもしれません。

冒頭で紹介したAさんのように真面目でコツコツやっていても目標を持たず日々のルーチンをこなしているだけの方は「ゴールの結び目=人生の目標」と「他人を頼る事」を意識してみてください。強いストレスを受けても決して切れる事のない心の紐が出来ているはずです。


執筆者:取材の学校 ライター 島袋智輝

1980年東京都江戸川区出身、神奈川県在住。中小企業診断士。大手日用品メーカーの化粧品技術者として入社。約10年技術者として携わってきた中で、もっと経営に関わりたいと感じ始め2015年に中小企業診断士を取得。「経営者の右腕」をテーマとして中小企業の社長のサポートを行っている。コンサルティングの専門はビューティケア業界や製造業であるが、ライターとして執筆、大学で講演と幅広く活動している。