岩田先生の連載第7回目、後編です。中編では、dポイント拡大の障壁についてお話ししました。後編では、これからdポイントはどこへ向かうのか、その戦略に迫ります。

dポイントの明るい兆し

今もどの陣営にも属さない全国チェーンというと、ほとんどが、Tポイントやポンタの勧誘にも負けずに、これまで孤高を保ってきた連中です。ドコモが誘ったところで、「ドコモさんだから」と二つ返事で、加盟してくれるわけはありません。それで外部への進出が遅れがちなのです。

そんな中で、明るい兆しもあります。楽天グループに入っている上新電機が今回からdポイントのグループにも入り、7月下旬以降には使えるようになるのです。これが今後のヒントになる可能性があります。「一店一ブランド」にこだわらない相手を探して、入れてもらう方法です。

その結果、上新電機では、楽天ポイントとdポイントが一緒に使えるようになるわけで、「一店二ブランド」が実現します。上新電機とすれば、楽天の顧客と同時に優良顧客のドコモの会員を送客してもらえれば、売り上げもアップするとの読みもあります。それで加盟店になるのを承知したのでしょう。

一方で、現実に成果をあげているのが、ドコモの組織をあげての支援です。全国各支社が協力して、九州では地元で最も有名と言われるメガネチェーンを加盟店にしました。また東北の支社は全国一の酒類の卸会社のやまやチェーンを引っ張ってくるなど各地で大活躍しています。

「加盟店開拓は、地道な仕事ですが、優良顧客をたくさん抱える弊社の実力をわかってもらえば、いずれ、ドコモの優良顧客を送って欲しいと言われるようになると思います。そこに行くまでは長期戦を覚悟しています」と、担当者は語っています。

富裕層を狙え

一方で、ドコモの戦略の中で、確実に成果をあげそうなのが富裕層獲得戦略です。ドコモはこの春に、タカシマヤと強力な提携関係を結びました。

タカシマヤでdカードを使うと、ローソンと同じような、3%割引になって合計5%お得になるキャンペーンをはじめているのですが、その他にも、dカードゴールドをもっている人は、タカシマヤのラウンジを使えるサービスが始まっています。一方で、タカシマヤゴールドカードをもっている人にはドコモの選りすぐりの特典を提供するサービスを予定しています(内容は検討中)。

富裕層を抱える企業同士が連携して、ともに上質のサービスを提供しあうコラボは、これまでになかったビジネスモデルです。また、第一世代の共通ポイントでは、庶民向けのテーマに隔たりがちになりますから、このジャンルには手が出せないでしょう。その意味では、ドコモならではの動きといえます。

百貨店の共通ポイント化

百貨店の共通ポイント化は急テンポで進み始めました。タカシマヤのdポイント提携と共に、伊勢丹とTポイント、大丸と楽天ポイントの提携が報じられました。タカシマヤとdポイントの組み合わせはステイタス・ベストマッチだと思うのですが、Tポイントと伊勢丹はなぜこういう組み合わせがでてくるのか、不思議でなりません。

伊勢丹の食品売り場ではTポイントカードをもっていても、だせない雰囲気があるというくらいに距離感があります。これはミスマッチという声もよく聞きます。大丸と楽天ポイントは伊勢丹ほどではないとしても、これも相乗効果は難しそうです。

タカシマヤとすると、ドコモからアイデアやデータの提供を仰いで、マーケティングに役立てたいとしています。また、ドコモは自らdカードやdカードゴールドといったクレジットカードを発行しています。そこから得られる顧客分析のノウハウはたくさんあるので、共同で仕事をすれば、さらに深い成果を得られると期待しています。

まとめ

ドコモやJR東日本とイオンのような新規参入組は、内向きなのが特徴です。というのも、内部に2000万人から6000万人近くの膨大な会員を抱えているために、そちらの整備を優先すると、外部の加盟店開拓まで手が回らないというのが現状だからです。

しかし、ドコモの場合は、会員のデータベースはすでに整備できているので、余った力を外部加盟店開拓に向けられるという利点があります。これが他の二者にないアドバンテージです。

さらに、ここに来て、ビッグデータ分析などの道具が揃ってきたので、富裕層に焦点をあてた戦略を展開できる選択肢もみえてきました。その意味でも、dカードゴールドというゴールドカードの価値は高く、その動きには今後とも注目したいところです。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

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