岩田先生の連載第7回目、中編です。前編ではdポイントの強みとすぐれたクレジットカード戦略についてご紹介しました。しかし、その一方で、課題も残されています。それが加盟店開拓の問題です。

ポンタポイントとの微妙な関係

dポイントが最初に出てきたときにローソンに入って、同時にポンタとも提携すると言う話になったために、ある評論家は「これではdポイントはポンタに吸収されるぞ」と言ったものです。しかし、実際には吸収されるどころかいつの間にかガチンコのライバルとなったようにみえます。

しかし、ドコモはポンタと提携関係を結んでおり、ポイントを交換すれば、ポンタのネットワークを使うことはできます。その交換比率は1対1と言われていますから、ドコモとすれば、dポイントをすみやかにポンタポイントに変えれば、ポンタのサービスを好きな時に使えるから便利とみているはずです。

ゲオ、昭和シェル、大戸屋といった庶民的な店をたくさん利用できるようになるので、それはドコモの会員としても大喜びのはずでしょう。私はてっきりそういうシナリオになるものだと思っていました。ですから、安心していたのです。ところが半年たった今もほとんどこちらの提携関係は進んでいないようです。ドコモの会員で、ポンタポイントに換えて、ポンタ加盟店を楽しく利用している人をみたことがないのです。なぜでしょうか?

5000Pからの交換と250Pの手数料

その原因はポイント交換の条件にありました。ポンタポイントとdポイントの交換は現状では相互交換になっています。相互交換というのは、JALとポンタの二社だけに許された特権です。両者ともドコモとは業務提携契約を結ぶなど、非常に近しい距離にあります。

メガバンク系のカード会社など有力なポイント交換先は、いずれも一方通行であって、相互交換は二社に限られた特権です。それだけ優遇されているのですが、じつは、条件があってポンタの場合は100ポイントからdポイントと交換ができるのに、ドコモの場合はdポイント5,000ポイントからでないとポンタポイントへの交換はできないのです。おまけに一回ごとに手数料として250ポイントが必要です。

ゲオであるとか大戸屋といった庶民的な店を利用しようと思う人が、わざわざ5250ポイントを用意してそんなところに行くのでしょうか。それを考えると非現実的な交換条件に思えるし、ドコモがなぜそんなにハードルをあげているのか不思議でなりません。

おそらくドコモとすると、dポイントの原資流出を抑えたいと、ハードルを高くしているのでしょうが、これではせっかくのポンタとの提携が台無しになってしまうように思えるのです。

ただ現在のところは両者のポイント交換の割合が一方が飛び抜けて高いといった状況ではないので、心配はいらないとのことですが、いずれにしろ、5000ポイントと手数料250ポイントの高いハードルは何とかしなければならない問題でしょう。

一業種一社の壁

そこで、ドコモとしては、当面、ポンタに期待しないで、自力で加盟店開拓する戦略をとっているようです。その結果、リアルとネットでかなりの数の加盟店が集まりました。しかし、その戦略も思わぬ伏兵に悩まされています。

自力開拓の障害となっているのは「一業種一社」の壁です。「一業種一社」というのは、Tポイントが提唱している排他的ルールで、ひとつの企業が共通ポイントに入った場合、同業他社はそこには入れないという決まりです。

また、「一店一ブランド」というルールもあって、こちらは、加盟店では一つの共通ポインのブランドしか扱えないというルールです。どちらも先行者利益を守るためのルールですが、それが業界にはいまも残っているのです。

このため、ドコモが、Tポイントやポンタの傘下に入っている全国チェーンの店に割り込んでいくのはなかなか難しいのです。自らポンタの押さえるローソンに間借りして事業をはじめたドコモでしたが、いよいよ最近になって、「一業種一社」の壁を破る困難さが身に滲みてきたようにみえます。

次回の後編では、そんなdポイントの突破口についてご説明します。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

ウェブサイト:上級カード道場