岩田先生の「アップルペイ」に関する連載の第1回目です。盛り上がりを見せているアップルペイですが、どのような効果を期待できるか、どのように使えばより効果的かについて、様々な切り口からご紹介いたします。

アップルペイでのカード選び

先日友人からこんな話を聞きました。「待ちに待ったアップルペイを使ってみたら、あまり節約にならないので、拍子抜けしてしまった」 彼はいち早くiPhone7を購入して、アップルペイを使いだしたのですが、還元率がアップするとか、年会費が無料になるといったはっきりした効用がないので、「何がいいのかわからない」と不満に思っているのです。こうした人は少なくないはずです。

スマホで買い物の時代へ。カード選びにも新しい基準を持とう!

しかし、彼らは大事なことを忘れています。クレジットカードだけを使っていた時のままで、その気持ちで、カード選びをしようと思っているからです。時代は変わりました。すでにスマホで買い物をする時代に入っています。クレジットカードだけを使うのと、スマホで買い物をする時では、明らかに使い方が変わることを自覚しなければなりません。

一枚だけカードを選んで使う時には、還元率の高いもの、年会費無料のものを基準に選んでいました。しかし、スマホでは違います。スマホには「クレジットカード」だけでなく、「電子マネー」や「アプリ」も入っています。私はこれをスマホの三種の神器と呼んでいますが、スマホではこの三つのアイテムを組み合わせてトータルにお得をとるようにするのがうまいやり方です。というのは、三種の神器を連携させながら使うと、1+1+1=3のものが、1+1+1=10にも20にもなる可能性があるからです。その隠された力を引き出す方法を考えるべきなのです。

スマホで家計を「見える化」。トータルでの節約効果が得られる。

たとえば、アップルペイの中に電子マネーのスイカとビューカードを入れて、さらにiPhone7に家計管理アプリを入れておけば、ビューカードからスイカにチャージするたびに、また、街で買い物するたびに、家計簿アプリには利用金額とポイントが明示されます、また、スイカの残金も利用のたびに明示されるので、常時自分の家計をスマホで把握できようになります。その結果、無駄使いをなくして、節約に貢献できます。これなどはスマホを使って相乗効果を得る基本的な例といえるでしょう。

還元率の高いクレジットカード一枚をもっていて、買い物すれば、節約したという気になる人は多いのですが、別のところで無駄遣いしている恐れがあり、実際に節約になっているかどうかはわかりません。その点、スマホのアプリできちんと管理できれば、多少クレジットカードの還元率が低くてもトータルで節約になっている場合もあり、はっきり分かります。その意味でも、スマホ時代は「見える化」という新しい方法で、対応できるということです。カードからスマホに決済の主役が変わります。カードの選び方、使い方も変わっていくのも当然といえるでしょう。

電子マネー、アプリ、ポイントカードなどが一緒になると、優遇サービスの幅が広がる。

ところで、還元率の高さへの関心は、主にアフィリエイトサイトが作り上げたものだと私は思っています。この4~5年、クレジットカード選びは、高還元率が目安になってきました。とくにアフィリエイトサイトがその発信源でした。アフィリエイターたちが商売でクレジットカードの新規入会者を増やすために、キャッチフレーズとして利用したのです。還元率1%以上の得するカードを並べて、そのランキングの中から選ぶように誘導するのがアフィリエイトサイトのやり方です。しかし、スマホ時代になると、クレジットカードだけで決済するわけではありませんので、還元率の高さはそれほど重要ではなくなるでしょう。

電子マネーやアプリ、さらにはポイントカードが一緒になることで、利用者が受ける優遇サービスの幅は大きく広がると思われます。これまでのような高還元率一辺倒の状況は弱まるでしょう。その意味で、今後はアフィリエイトサイトも新技法を考えねばならなくなるでしょう。

ちなみに、マネーツリーのサイトはアフィリエイトとは無縁のために、私も自由に、率直に文を書くことができます。これには感謝いたします。今後はSEOだけの中味のないアフィリエイトサイトは、淘汰されていくでしょう。利用者の役に立つ誠意に溢れたサイトが先頭に立つ時代がやってきます。アップルはそうしたサイトのあり方を応援してくれると思います。

次回はいよいよスマホ三種の神器の活用方法を紹介!

それでは、次からライフスタイルにあわせた三種の神器の活用方法を紹介していきますが、残念ながら、電子マネーで対応しているのがスイカだけですから、バラエティに欠けますが、その代わりにアプリがいろいろでていますので、クレジットカードとアプリの相乗効果で詳しく書いていきましょう。

カード会社、電子マネー事業者、アプリ事業者も今後はこの面での活用を進めようとするはずです。なかでも、アップルは、厳選されたアプリと電子マネーとクレジットカードを組み合わせたサービスを開発することが考えられます。楽しみです。


執筆者:岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。