岩田先生の連載第6回目、後編です。前編では大手企業の共通ポイントへの参入に関してでした。後編では、各共通ポイントの違いや自分にあった選び方について、ご紹介します。

共通ポイントの内部統合

前編では、続々と共通ポイントが増え、何を選ぶべきかわかりにくくなっているお話をしました。それでは、各共通ポイントはどう違うのでしょうか?それを最近発表されたイオンのWAON POINTで調べてみましょう。6月にスタートするイオンの共通ポイントWAON POINTに注目が集まっています。イオングループには、電子マネーワオンの「ワオンポイント」、イオンカードの「ときめきポイント」があり、それに新しく共通ポイントのWAON POINTが加わることになります。

目的はビッグデータの収集です。コンピュータとAI(artificial intelligence人工知能)の発達で膨大な量のデータでも的確に分析してマーケティングに活用できるようになりつつありますから、その流れに乗り遅れまいとして参入してくるわけです。

しかし、正確には、将来、ポイントはすべてWAON POINTに統合されるといいます。グループ全体で57種類のカードがでていますが、そのすべてがWAON POINTに統一されます。そのために、外部の加盟店開拓よりもグループ内部のポイント統合を急ぐように要請されているそうです。

ポイント統合を先行しておけば外部での仕事も楽になるとみているのでしょうか。そこで、当分はイオン、マックスバリュ、イオンモールなどの整備を重点におこなうことになるでしょう。

このイオングループの内部重視のやり方は、JR東日本が始めたJREPOINTとよく似ています。JREもまず駅ビルが別々に発行しているハウスカードの統合から始めて、駅ソトで使えるSuicaポイントとの統合にもっていくシナリオを描いています。そして、最終的にはビッグデータの収集で顧客に合わせたマーケティングをしようとしています(それもイオンと同じです)。

イオンの拡大戦略

また、提携についてイオンはどことでも手を結ぶというオープンな姿勢を強調しています。ちょうどdポイントがポンタと提携してサービスを開始した時とよく似ています。dポイントはポンタと提携することで、ポンタのもつ加盟店インフラをドコモの本会員に開放する役割を果たしました。

つまり、ドコモはポンタの加盟店というインフラを活用しようとしているのです。イオンも同じで他の共通ポイントをインフラとして使う可能性は大いにあると思います。

共通ポイントの違い

そう考えると、イオンのWAON POINTは同じ共通ポイントながら、Tポイント、ポンタポイント、楽天スーパーポイントとは違う考えを持ち、立ち位置も異なるといえます。「提携先にこだわらない」「外への展開より内の充実を先行させる」ところなど、むしろドコモやJR東日本と似ているといえるでしょう。

以上のことから、同じ共通ポイントといいながら、中味はかなり違うということがお分かりになったと思います。整理してみると、Tポイント、ポンタポイント、楽天スーパーポイントの先行三者は「共通ポイント第一世代」であり、インフラ開拓に注力したグループ、その後に生まれたドコモ、JR東日本、イオンは「共通ポイント第二世代」で本会員を中心とした考え方をもつグループということです。

なかでも第二世代のグループは、庶民に直接サービスを提供する「三通」業者であるということが重要です。そして、①2000万人から6000万人という膨大な会員数をもち、実績ある企業が母体になっているために信用度も高い、②第一世代の作り上げたインフラをある程度当てにしながら、より上質の戦略を狙えるといった特長があります。

つまり、彼らは共通ポイントといいながら、加盟店ネットワークを外に拡げることより、当面は、内部の結束を高めることを第一としている陣営なのです。これは加盟店インフラの構築に専念する第一世代とは全く別の考えであり、第一世代からは出てこない発想だったでしょう。

当然、イオンのような相手は、一業種一社といった概念もありませんし興味も示さないでしょうから、Tポイントには煙たい存在、あるいは手ごわい存在と映るにちがいありません。

どちらの共通ポイントを選びますか?

現在、共通ポイントは第一世代と第二世代の二つのグループが共存する状況です。あなたはそのうちのどれを選びますか。第一世代ですか、第二世代ですか。もう少し待てば、恐らくそれらが融合した理想的な共通ポイントが生まれるかもしれません。

しかし、そこまで待つのは難しいでしょう。とりあえずはインフラ重視の第一世代をもち、もう一枚は三通事業者のカードをもつという選択でしょうか。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

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