「料理」と聞いて、みなさんが連想するイメージはどのようなものでしょうか。楽しく面白いもの、食べるために仕方なくするもの、面倒なのでほとんどしないもの、・・・などとらえ方は人それぞれで多様だと思います。

 食事は人間が生きていく上で欠かせないものです。その中で、毎日必要な食事に関係する「料理」が、実は仕事や普段の生活に大きく影響を与えるとしたらどうでしょう?少なからず、料理に対するイメージは変わるのではないでしょうか。お料理力の向上が生活にどのように影響するのか、ひも解いていきます。

味と時短で二度おいしい肉じゃが  例えば肉じゃがを作る場合で、必要な食材は、肉・じゃがいも・にんじん・たまねぎ・調味料とします。ここで、よりおいしい肉じゃがを短い時間で作るにはどうすればいいでしょうか。実はここに段取り力が関わってくるのです。

調理工程はおおまかに 〖① 材料を用意する〗→〖②食材を切る〗→〖③肉を炒める〗→〖④調味料・残りの食材を入れて煮る〗となります。しかし、調理の優先順位は材料が無ければ調理ができないので、当然①が最も高くなります。

 それなら①から④まで順番にやればいいと考えることもできますが、よりおいしく短時間で作るためにはそうとは言い切れません。④の煮る工程では、食材によって火の通り方に差があるため、鍋には火の通りにくい順に入れたほうが煮崩れせずおいしくなります。その場合、②の切る工程は③の前に全て終わらせておく必要はなく、④で煮ている間に鍋に入れる順に切れば、②の切る工程中に必要だった時間を短縮できます。結果として、調理開始から終了までの時間は②の切る時間の短縮分だけ短くすることができ、仕上がりも煮崩れがなく、より良いものとなります。    肉じゃがのような単品だけではなく、複数の献立を組み合わせたとき、段取りによってこの違いはさらに明確に表れます。

料理以外への応用  このように全体のゴールを見据えて細部の調整を図るというのは、仕事や普段の生活においても共通ではないでしょうか。

 今日、自分はこれだけすべき仕事があるというとき、一つ一つ確実に終わらせて次の仕事に取り掛かるというのも、やり方として間違ってはいません。ただ、1日全体を考えたときに1つの仕事の合間でできる他の仕事があれば、組み込んで終わらせてしまう。もしくは、必ずしも午前中にやる必要がない仕事を、例えば同僚とともに効率的にできる午後にもっていく。これによってより良い結果が得られ、時間が短縮されるのであれば考える余地はありそうです。

 普段、朝寝坊してあと10分で家を出なければならないとき、人間はいかに10分で家を出られる状態を作るかを必死に考え行動します。段取り以前の問題かもしれませんが(笑)、この10分の段取りって相当重要ですよね。

 料理は特に分刻みや秒刻みで状態が変化するので、その状態を把握しつつ段取りを調整することで、段取り力は格段に上がります。料理好きの方もそうでない方も、この視点から料理を考えると面白いかもしれませんよ。


執筆者:取材の学校 ライター 羽石 欣司 中小企業診断士、調理師。

大学卒業後、ファーストフードチェーンにて店舗運営をはじめとした経営を学び、料理人の道へ。成田空港近くの大規模ホテルや個人レストランで、フランス料理やイタリア料理を中心に洋食調理に従事。現在は食品会社で、主にプロジェクトリーダーとして提案営業やプロジェクトの推進・管理を行う。 暇さえあればケーキを作り食べている、大の甘いもの好きのスイーツ男子。自身の経験を活かした、現場目線での飲食店支援を目指している。