岩田先生の連載第4回目は、JR東日本が新しく開始した共通ポイントサービス、JRE POINTについてです。いま、共通ポイントにのめりこんでいるのは家計の支出を少しでも抑えたいと考える消費者、カードユーザーだけではありません。むしろ事業者のほうが消費者以上に共通ポイントにのめりこんでいるのです。

JRE POINTとは

JR東日本が2月23日からスタートさせた新しいポイントサービスです。JR東日本グループには、電子マネーのSuicaに付帯したSuicaポイントがあります。さらにクレジットカードのビューカードのビューサンクスポイントがあります。

また、アトレ、グランデュオといった首都圏に点在する駅ビルにはそれぞれのポイントがあって買い物によく使われています。そのほかにもメトロポリタンやホテルメッツなどのグループホテルもあり、こちらも宿泊に応じてポイントのつくサービスを実施しています。

JRE POINT誕生の真相

これらのポイントはもともと各事業者が独自に発行したものです。そのため互換性がなく、互いに貯めたり、使ったりすることはできません。それが利用者にとっての利便性を損ね、普及が伸び悩む原因になっていました。

JR東日本としては、このままではいまの共通ポイントブームに乗り遅れ、消費者の不興を買うというので、急遽、共通ポイント化を宣言したというのが、真相です。その手始めが個々の駅ビルがそれぞれに行っていたポイントサービスの共通化だったのです。

これまでJR東日本管内のアトレやテルミナ、グランデュオなどの駅ビル店がそれぞれ個別に発行していたポイントカードをJRE POINTに切り替えたわけです。

将来はビューサンクス、Suicaポイントとも共通化

JR東日本では、プレスリリースで次のように謳っています。

「グループ経営構想V~限りなき前進~」で掲げる一体感のあるグループ経営を進めるため、JR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)を開始します。これにより、貯めやすく、使いやすいポイントサービスを実現します。まず、2016年2月より、アトレ、ボックスヒル、グランデュオ、シャポー、テルミナのポイントを「JRE POINT」に共通化します。その後、他の駅ビルのポイントも共通化していきます。さらに、ビューサンクスポイント、Suicaポイントも将来的に「JRE POINT」への共通化を目指します。」

賢明な読者の方は、駅ビル大手のルミネの名前がないことに気づいたかもしれません。そのわけは、ルミネはすでにビューカードと提携してルミネカードでビューサンクスポイントが貯まる仕組みになっているからです。

そのため、今回のJRE POINT開始の動きからは外れています。ルミネ以外のアトレ(恵比寿、吉祥寺など)、ボックスヒル(取手)、グランデュオ(立川、蒲田)、シャポー(市川、船橋など)、テルミナ(錦糸町)などの駅ビルのポイントが共通ポイントのJRE POINTに移行するのです。

一部の利用者は新しくカードを作成する必要あり

ただし、すべてが一斉に新ポイントカードに切り換わるのではありません。というのも、JRE POINTのシステムは会員数の多いアトレクラブポイントに合わせることになりましたから、アトレとそのシステムを共有しているボッスクヒルのポイントカードは現状のまま共通ポイントカードとして使えます。

しかし、そのほかの駅ビル (グランデュオ、シャポー、テルミナなど) の利用者は新しくJRE POINTカードをつくる必要があるということになりました。

JRE POINTのメリット

JRE POINTカードは買い物や食事での提示で100円(税込)で1ポイント貯まり、1ポイント1円で、次の買い物をするときに使えます。JR東日本が提供するサービスに利用することもできます。たとえばさいたま市の大宮にある鉄道博物館の入場券やメトロポリタンホテルや東京ステーションホテルの優待券と交換できます。これなどは、JRE POINTならではの特長といえるでしょう。

私の最寄り駅は中央線の立川駅です。これまでグランデュオ立川のポイントカードを利用していましたが、今後はJRE POINTカードを新しくつくらねばなりません。ただ、これをつくってしまえば、恵比寿のアトレで買い物をしても同じポイントが貯まるのでとても便利になります。

将来的には、ビューサンクスポイント、Suicaポイントとの統合、共通化も予定されていますから、駅ビルの利用もオトクなSuica経済圏に組み込まれて、使い勝手が抜群によくなることでしょう。

「共通ポイントとは名ばかり」という落胆の声も

ただ、共通ポイントというからには全国で使えたり、Suicaとの連携がすぐにでも実現するのでは、と思った人も多いようです。ところが実際には、単にローカルの駅ビルのポイントが少しだけ共通化するという話なので、「これで共通化というのなら、何だって共通ポイントになってしまうよ」という人もいます。

JRの共通ポイントは風呂敷を広げた割には小さな動きだったので、「あてがはずれた」というところかもしれません。しかし私は、JRE POINTのスタートは共通ポイント業界全体の行方を大きく左右する本格的なすそ野の広い動きだと見ています。

なぜそう考えるのかは、「後編」でお話します。

著者プロフィール

岩田昭男 消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。

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