先日、PYMNTS.comに弊社代表のポールが取材された記事を、日本語に翻訳しました。Moneytreeのイノベーションに対する考え方や、革新的なアイデアを見つけるために心がけていることがインタビューされていますので、ぜひご覧ください。 引用元:http://www.pymnts.com/news/payments-innovation/2016/the-benefits-of-bottom-up-payments-innovation/

「ボトムアップ」イノベーションを取り入れる利点

イノベーションは二つのカテゴリーに分けることができる。ひとつはEMV仕様のような新しい要素の導入から始まる「トップダウン」、そしてもうひとつは既存のテクノロジーの上に構築する「ボトムアップ」だ。どちらのイノベーション手法も役に立ち、どちらも、スタートアップ企業と世界的企業とを繋ぐプログラム、マスターカード・スタートパスを利用する企業でも採用されている。

マスターカードのスタートパス・プログラムに関わっているそんな企業のひとつがマネーツリー株式会社だ。CEOのポール・チャップマン氏は最近PYMNTSに「ボトムアップ」イノベーションのほうが人々が使うソリューションをもたらしやすい、ということを話してくれた。

PYMNTS:何がマネーツリーを革新的にさせているのでしょうか?それから消費者に向けてどんな価値を訴求されたのでしょうか?

ポール:Web 2.0時代にデータアグリゲーションがポピュラーになって、みんながブラウザーの視点から問題に対処していました。その結果、プロダクトデザイナーたちは人々がコンピューターの前に座って、プロセスの長い説明文を喜んで読むものだと思いこみ、エクセルのシート何枚分にもなるフィーチャーを作りこむようになりました。

しかし我々は何か別にもっと良い方法があるんじゃないかと思っていました。特に我々の市場である日本はかなりモバイル指向でしたからね。ですから、我々は小さなスクリーンにテクノロジーを詰めこみ、各々のウェブサイトに行く必要がないように、デザインなど一年間試行錯誤しながら作り上げました。そしてそれがデータアグリゲーションをベースとする日本初のモバイルファーストの個人資産管理アプリとなったのです。

PYMNTS:革新的なアイデアをどこで見つけるんですか?またその理由は?

ポール:価格で勝負したり、客層で勝負したり、新規参入の企業にすばやく追随したり、と起業家としてとることができる戦略はたくさんあります。しかし、当社はテクノロジーにおけるイノベーションに基づいて勝負しており、これには二つのシンプルな理由を目的としています。①圧倒的な競争優位性を生み出す② 他社がやらないことをやる 私たちは自分たちの作ったソフトウェアは毎日使用しますし、自分たちで欲しいと思わないプロダクトは、作りません。

PYMNTS:イノベーションへはどのようにアプローチしていますか?

ポール:我々のイノベーションはデザイン思考とPrivacy by Designに由来しています。ありがたいことに、デザインというのが視覚的な特徴に限ったことではないということが以前より浸透してきました。デザイン思考はデザインや開発の段階で何度も浮上してくる問題を、解決することでプロダクトを作り上げていきます。アプリだろうと車だろうと、もっとも意義のある体験はその製品がどのように人々や製品環境になじむかを本当に大切にするときに実現すると私たちは信じています。

Privacy By Designとはつまり、最初からデザインと開発プロセスに特定のプライバシー保護の原則を使用するというコミットメントのことです。例えば、プライバシーというのは初期設定であり、プライバシーに対する心遣いが明確に施されていて、それ自体が体験の質を下げたり複雑にするといった意味ではありません。

PYMNTS:支払いにおけるイノベーションについてほとんどの人が過小評価しているようですが、その点についてどう思われますか?

ポール:人々はトップダウンとボトムアップの違いを分かっていません。トップダウン・イノベーション (EMVなど) は根付くまでに莫大な時間と費用がかかりますし、業界内部の人の視点から考え出されたものです。ボトムアップ・イノベーション (マネーツリーなど) は近年既に存在しているテクノロジー (スマートフォン、アプリ、センサーなど) を利用し、既存の金融や支払いインフラ (インターネットバンキング、クレジットカード、ポイントカードなど) を再定義するのでユーザーにフォーカスをあてた非の打ちどころのない体験を作りだせるのです。

どちらのアプローチも重要ですが、規模の大きい企業が顧客のためにアプリやサービスを開発する際にトップダウンのアプローチをしているように思います。その結果、人があまり使わないようなものになってしまっています。顧客も見込みもないまま大きく物事を考えて、トップダウンの戦略をとろうとするスタートアップ企業もいます。どちらの過ちもわたしはエンプティールーム症候群とよんでるんですが、これはほとんどの人が使いたがらないにもかかわらず実行されるテクニカルなソリューションです。

PYMNTS:どんな人、もしくはどんな会社がイノベーションをおこせるとお考えですか?またその理由は?それとは逆に誰が、どこでイノベーションを逃してしまったでしょう?その理由は?

ポール:アップルが模範として分かりやすい例ですね。よく人々がアップルは世界最大のスタートアップ企業で、彼らのイノベーションの成功は言うまでもないと話しているのを聞きます。大きく成長するスタートアップ企業のほとんどはそこまで登りつめた時のイノベーションプロセスをあまり理解していません。観察に基づいて、アップルは革新の方法を理解しており、それを反復可能なプロセスに変えたのです。

イノベーションを理解していない企業の例はたくさんありますよ。特に日本のIT部門は。これまでの日本では、真のイノベーションに基づいて競争するよりも、多額の資本を持ったり、特定の有名企業グループの一部でいる事のほうが歴史的には重要だったのです。そういう訳で、日本という国はアメリカみたいにソフトウェアの真の輸出国ではないのです。ただしありがたいことに、日本の新しい世代のスタートアップ企業のおかげでそれも変わってきています。彼らはアメリカの子供と同じように世界最高のソフトウェアに触れながら育ってきた世代です。日本のスタートアップとして活動するには、今一番たのしい時ですね。

PYMNTS:このスペースにいる若きイノベーターに何かアドバイスするとしたらなんでしょうか?またどうしてそれが大事なのですか?

ポール:何を教えるかはその人がどのステージにいるかによりますね。大学生のうちなら、もっとたくさん色々な分野のアルバイトをしたり、ボランティアをしたり、コミュニティーグループに入ったり、インターンシップしたり、色々と積極的に取り組むことですね。もっとも革新的なアイデアは分野と分野の交わるところで見つかるものです。ですから、いろんなことに興味を持つことが手持ちのチップになるんです。

数年の職場経験を積んだ人なら、僕はセンスを磨くことを強くお勧めしますね。具体的に言うと、自分の接するありとあらゆる製品、サービス、メディア、アートについて好きな点と嫌いな点をきちんと分かることです。そうして洞察力を積み重ねていくことで何をつくるべきか、何を作らないべきかが分かるようになります。

イノベーターになるということはリーダーになるということ。まだ誰も持っていない洞察力で行動することによって先手を打つことができます。革新的な洞察力がなければ模倣者にしかなれません。現実はもっと複雑ですから、ビジネスに失敗するという意味ではありません。ただ、模倣者は競合他社と戦うときにイノベーションを武器として使えないというだけです。